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税務調査

【税務調査が来る確率は?】国税庁の統計で計算|個人事業主・法人の目安と選ばれやすいケース

公開 2026.10.12

税務調査が来る確率を統計で計算

「うちみたいな小さな事業にも、税務調査は来るのだろうか」「周りで調査を受けた人がいて、急に不安になった」。こうした声はとても多く聞かれます。何となく怖いけれど、実際にどのくらいの割合で来るものなのかは、意外と知られていません。

この記事では、国税庁が公表している最新の統計(令和6事務年度)をもとに、税務調査が来る確率のおおよその目安を計算します。あわせて、国税庁の資料から読み取れる「調査の対象になりやすいケース」と、日頃からできる備えを整理しました。

結論:1年間で実地調査を受けるのは法人で約1.6%、個人で約0.2%が目安

先に結論をお伝えします。国税庁の公表値から計算すると、1年間(1事務年度)に税務署などの実地調査(調査担当者が事業所や自宅に来て行う調査)を受けた割合は、次のとおりです。

区分実地調査の件数(令和6事務年度)分母割合の目安
法人(法人税・消費税)約5万4千件法人数 約346万法人約1.6%(約64社に1社)
個人(所得税・消費税)46,896件確定申告の申告人員 約2,339万人約0.2%(約500人に1人)

ただし、これは「全体の件数を全体の数で割っただけ」のおおよその目安です。税務調査はくじ引きのように無作為に行われるものではなく、申告内容や資料の分析をもとに対象が選ばれます。そのため、実際の確率は事業の内容や申告の状況によって大きく変わります。次の章で、数字の出典と計算のしかたを確認していきましょう。

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数字の出典と計算のしかた

法人の場合

  • 分子(調査件数):国税庁「令和6事務年度 法人税等の調査事績の概要」(令和7年12月公表)。法人税・消費税の実地調査の件数は5万4千件(前年は5万9千件)です。
  • 分母(法人数):国税庁「令和6事務年度 法人税等の申告(課税)事績の概要」(令和7年10月公表)。令和7年6月30日現在の法人数は346万法人(清算中の法人は除く)です。
  • 計算:5万4千件 ÷ 346万法人 ≒ 約1.6%

個人(所得税)の場合

  • 分子(調査件数):国税庁「令和6事務年度 所得税及び消費税調査等の状況」(令和7年12月公表)。所得税の実地調査の件数は46,896件(特別調査・一般調査36,404件、着眼調査10,492件)です。この件数は、所得税と消費税の実地調査を合わせた件数とされています。
  • 分母(申告した人の数):国税庁「令和6年分の所得税等、消費税及び贈与税の確定申告状況等について」(令和7年5月公表)。所得税等の確定申告書の申告人員は2,339万人です。
  • 計算:46,896件 ÷ 2,339万人 ≒ 約0.2%
計算上の注意:事務年度(令和6年7月〜令和7年6月)と申告の年分は、期間が完全には一致しません。また、所得税の分母には、年金受給者や医療費控除などで還付申告をした人も含まれる一方、分子には無申告の人への調査も含まれます。事業をしている人だけに絞った割合ではないため、あくまで規模感をつかむための目安として見てください。

「実地調査」以外の接触はもっと多い

税務署からの連絡は、事業所などに来る実地調査だけではありません。国税庁の統計には、原則として訪問せずに、文書や電話、税務署への来署依頼で申告内容の見直しを求める「簡易な接触」という区分があります。

区分簡易な接触の件数(令和6事務年度)分母に対する割合の目安
法人(法人税・消費税)8万5千件約2.5%
個人(所得税)689,440件約3%

所得税では、簡易な接触の件数が実地調査の10倍以上にのぼります。「お尋ね」の文書や電話で申告内容を確認されるケースは、決してめずらしくないということです。文書が届いたときの考え方はお尋ね・行政指導の記事で詳しく説明しています。

また、実地調査を受けた場合に何らかの申告漏れなどの指摘(非違)があった割合も公表されています。所得税では実地調査46,896件のうち39,178件(約8割)、法人税では5万4千件のうち4万2千件(約8割)で非違がありました。調査の対象は、それだけ的を絞って選ばれていると読み取ることができます。

「何年に一度」は公表されていない

インターネット上では「税務調査は〇年に1回来る」といった話を見かけることがあります。しかし、国税庁は「何年に一度」という基準を公表していません。

上の割合をひっくり返して「64年に1回」「500年に1回」と考えるのも正確ではありません。調査の対象は申告内容や資料情報の分析で選ばれるため、何年も調査がない事業者がいる一方で、短い間隔で調査を受ける事業者もいます。周期を予想して備えるのではなく、いつ調査があっても説明できる状態にしておくことが大切です。

調査の対象に選ばれやすいとされるケース

国税庁は、調査対象の選び方の細かな基準は公表していません。ただ、公表資料からは、どのような点に重点を置いているかを読み取ることができます。ここでは、公表資料で確認できる範囲に絞って紹介します。

1. 資料情報と申告内容が合わない

国税庁は、法人の調査について「あらゆる機会を通じて収集した資料情報等や申告書の分析・検討」を行い、調査の必要性が高い法人を選んでいると説明しています。個人の「着眼調査」も、資料情報や申告内容の分析の結果、申告漏れなどが見込まれる人を対象にしたものとされています。

取引先が税務署に出す支払調書などの資料と、自分の申告した売上が合っていない場合などは、確認の対象になりやすいと考えられます。

2. 決算書の数字の動きに不自然な点がある

国税庁は、AIを活用した予測モデルで調査の必要性が高い法人を抽出し、最終的には調査官が判断していると公表しています。紹介された事例では、決算書を分析したところ外注費が年々不自然に増えており、調査で取引の実態がない外注費が見つかりました。売上や経費の推移も分析の対象になっていることがわかります。

3. 無申告

国税庁は、無申告の法人や個人への対応を重点課題としています。令和6事務年度に所得税の無申告者に行った実地調査(特別・一般)は4,812件で、1件当たりの追徴税額は524万円と過去最高でした。無申告については無申告の記事もご覧ください。

4. 消費税の還付申告・海外取引・インターネット取引など

国税庁の資料では、次の分野にも重点的に取り組んでいるとされています。

  • 消費税の還付申告:添付書類や資料情報で審査し、疑問があれば還付を保留して実地調査などを行う
  • 海外取引・海外投資:外国の税務当局との情報交換なども活用
  • インターネット取引:シェアリングエコノミー、ネット広告(アフィリエイト等)、ネット通販、暗号資産(仮想通貨)などの取引
  • 富裕層:所得や資産の多い個人

5. 業種による傾向

国税庁は、個人事業者について1件当たりの申告漏れ所得金額が高い上位10業種を公表しています。業種ごとの傾向と注意点は業種別ポイントの記事にまとめています。

ここで紹介したケースに当てはまるからといって、必ず調査が来るわけではありません。反対に、当てはまらなくても調査の対象になることはあります。

調査が来る前からできる備え

確率は低くても、調査は突然やってきます。日頃から次のことを心がけておくと、いざというときに落ち着いて対応できます。

  • 期限内に申告する:無申告は重点的に調べられる分野です。売上が少なくても申告が必要な場合があります。
  • 帳簿と証拠書類を保存する:領収書・請求書・通帳などを、決められた期間きちんと残しておきます。保存期間は何年さかのぼるかの記事で説明しています。
  • 取引先の支払額と売上を照らし合わせる:支払調書や入金記録と、帳簿の売上が合っているか確認します。
  • 数字が大きく動いた理由をメモしておく:売上の急増・急減や、特定の経費が増えた理由を説明できるようにしておきます。
  • 事業用の口座とカードを分ける:お金の流れが説明しやすくなります。詳しくは通帳はどこまで見られるかの記事をご覧ください。
  • 間違いに気づいたら早めに直す:調査の通知を受ける前に自主的に修正申告をすれば、過少申告加算税はかかりません。加算税のしくみは追徴課税の記事で解説しています。

税理士の「書面添付制度」

税理士は、申告書の作成にあたって計算・整理した内容などを記載した書面を、申告書に添付することができます(税理士法33条の2)。この書面が添付されている場合、税務署が事前通知をして調査を行うときには、通知の前に税理士に意見を述べる機会を与えなければならないとされています(税理士法35条1項)。調査の前に、税理士を通じて説明できる場が設けられるしくみです。

調査の連絡が来たら

実際に連絡が来たら、まずは慌てずに、調査の日時・対象となる税目や期間などをメモしましょう。日程の変更も相談できます。連絡を受けてからの具体的な流れは連絡が来たときの記事にまとめています。

当事務所では、元国税調査官(国税OB)のスタッフが在籍し、調査前に申告内容や帳簿をチェックします。当日の立会い・税務署との折衝・修正申告は税理士が対応し、オンラインでの立会いにも対応しているため全国からご相談いただけます。顧問契約がなくてもスポットでご依頼いただけます。税務調査のご相談はこちら

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よくある質問

Q. 個人事業主でも税務調査は来ますか?

A. 来ます。令和6事務年度には、所得税(消費税を含む)の実地調査が46,896件行われました。さらに、文書や電話などによる「簡易な接触」は約69万件ありました。事業の規模が小さいから来ない、ということはありません。

Q. 赤字なら税務調査は来ませんか?

A. 赤字だから対象外になる、という決まりは公表されていません。国税庁は資料情報や申告書の分析をもとに調査の必要性を判断していると説明しています。赤字でも、売上の計上漏れや経費の内容などを確認される可能性はあります。

Q. 一度調査を受けたら、しばらく来ませんか?

A. 「調査の後は〇年来ない」という基準は公表されていません。また、国税通則法74条の11第5項では、調査が終わった後でも、新たに得られた情報から誤りがあると認めるときは、再び調査ができると定められています。

Q. 確率が低いなら、準備しなくても大丈夫ですか?

A. 確率はあくまで全体の平均です。対象は分析をもとに選ばれるため、資料と申告が合っていない場合などは平均より高くなると考えられます。また、調査がなくても申告を正しく行う義務は変わりません。日頃の記帳と書類の保存が、いちばんの備えです。

まとめ

国税庁の令和6事務年度の統計から計算すると、1年間に実地調査を受けた割合は、法人で約1.6%、個人(所得税)で約0.2%が目安です。ただし、調査の対象は資料情報や申告内容の分析をもとに選ばれるため、この数字は平均的な規模感にすぎません。「何年に一度」という基準もありません。

大切なのは、確率に一喜一憂することではなく、申告を期限内に正しく行い、帳簿や書類をきちんと残しておくことです。「うちは大丈夫かな」と気になったら、調査が来る前でも構いません。お気軽にご相談ください

ご注意

本記事は2026年10月12日時点の法令・情報にもとづいて作成しています。税制は改正されることが多いため、お読みいただく時期によっては内容が変わっている場合があります。また、記事は一般的な情報をわかりやすくお伝えするためのもので、実際の取り扱いはお一人おひとりのご事情によって異なることがあります。内容には十分に注意しておりますが、本記事をもとにしたご判断の結果については責任を負いかねますので、あらかじめご了承ください。個別のご相談は、どうぞお気軽に当事務所へお問い合わせください。

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