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税務調査

【業種別】税務調査で指摘されやすいポイント|飲食・建設・フリーランスなど9業種の対策

公開 2026.10.11

飲食店・工事現場・パソコン作業など、さまざまな業種の人たちと書類を確認する税理士のイラスト

税務署から調査の連絡が来たとき、「うちの業種だと、どこを見られるのだろう」と不安になる方は多いと思います。調査で確認される点は、実は業種によってかなり違います。お金の流れ方や、ミスが起きやすい場所が業種ごとに違うからです。

この記事では、国税庁が公表している統計をふまえ、9つの業種について、税務調査で確認されやすいポイントと「なぜそこが見られるのか」、日頃からできる対策を整理します。

国税庁の統計で見る「指摘が多い業種」

国税庁は毎年、調査の結果をまとめて公表しています。2026年10月時点で最新の令和6事務年度(令和6年7月〜令和7年6月)の資料から、業種に関するデータを紹介します。

法人:不正発見割合が高い業種

法人税の実地調査のうち、売上を除外するなどの不正計算が見つかった割合(不正発見割合)が高かった業種は、上位から順に「バー・クラブ(62.3%)」「その他の飲食」「外国料理」「美容」「大衆酒場、小料理」「自動車修理」「船舶」「土木工事」「職別土木建築工事」「中古品小売」でした。上位10業種のうち4つが飲食関係です。

個人:1件当たりの申告漏れ所得が大きい業種

事業所得のある個人では、1件当たりの申告漏れ所得金額が大きい順に「キャバクラ」「眼科医」「ホステス、ホスト」「経営コンサルタント」「太陽光発電」「バー」「コンテンツ配信」「ブリーダー」「スナック」「システムエンジニア」でした。

これらは「実際に調査した中で」の数字です。税務署は申告内容や資料情報から調査先を選んでいるため、その業種の事業者全体に不正が多いという意味ではありません。ただ、どんな業種でミスや漏れが起きやすいかを知る手がかりになります。
税理士が帳簿をペンで示しながら説明している手元

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業種別のポイント一覧

まず全体像を表で確認しましょう。くわしい理由は、このあと業種ごとに説明します。

業種見られやすいポイント日頃の対策
飲食業現金売上の計上漏れ、レジ記録、原価率レジの日計表と入金を毎日照合、レジデータを保存
建設業外注費と給与の区分、工事売上の期ずれ外注先との契約書・請求書を残す、完成日を記録
IT・フリーランス家事按分、複数の入金経路、源泉徴収按分の根拠をメモ、入金口座をまとめる
美容(美容室・エステ・ネイル)現金売上、回数券・前受金、業務委託の区分予約システムと売上を照合、回数券の台帳
不動産賃貸礼金・更新料、修繕費と資本的支出契約ごとの収入一覧、工事内容の記録
EC・ネット販売プラットフォーム売上の総額計上、在庫販売管理画面の明細を保存、期末に棚卸
医療・歯科自費診療の計上漏れ、医療機器・在庫自費の会計記録とレジを照合
運送業傭車(外注)と給与の区分、燃料費・車両費運行記録と請求・支払を対応させる
士業・コンサル報酬の計上時期、交際費・家事関連費請求書番号で売上を管理、支出目的を記録

現金売上が多い業種:飲食業・美容

お客さんから直接、現金で代金を受け取ることが多い業種です。売上の記録が外部に残りにくいため、レジや予約の記録と入金の照合がよく確認されます。

飲食業:現金売上とレジ記録

法人の不正発見割合で、飲食関係が上位に多く入っています。理由は、お客さんから現金で受け取る売上が多いからです。振込と違って記録が外部に残りにくく、レジを通さない、レジの記録を消す、といった計上漏れが起きやすい構造です。

調査では、レジの記録(日計表や取消・訂正の履歴)、売上と預金への入金の関係、仕入量から見た売上の妥当性(原価率)などが確認されることがあります。仕入は取引先の記録に残るため、仕入に対して売上が少なすぎると、確認の対象になりやすくなります。

  • 毎日、レジの締めの金額と実際の現金を合わせ、記録を残す
  • レジの取消・返品は理由をメモしておく
  • キャッシュレス決済の入金明細も保存する
  • 従業員のまかないや廃棄も、わかる範囲で記録する

美容(美容室・エステ・ネイル):現金と回数券

法人の不正発見割合で「美容」は4位でした。飲食業と同じく現金で支払うお客さんが多いことに加え、回数券やコースの前受金を、いつ売上にするかで期ずれが起きやすい業種です。

また、スタイリストやネイリストと業務委託契約を結んでいる場合は、建設業と同じく、外注費と給与の区分が確認されることがあります。予約システムの記録は、売上を確認する材料になります。

  • 予約システムの来店記録とレジ売上を定期的に照合する
  • 回数券は販売日・使用回数・残り回数を台帳で管理する
  • 業務委託の契約内容(指示の有無・道具の負担)を書面で残す

外注費と給与の区分が問われる業種:建設業・運送業

人に仕事をお願いすることが多い業種です。支払いの区分しだいで消費税や源泉徴収の額が変わるため、契約と実態がよく確認されます。

建設業:外注費と給与の区分

建設業でよく確認されるのが、職人さんへの支払いが外注費なのか給与なのかという点です。外注費なら消費税の仕入税額控除の対象になり、源泉徴収も原則不要です。一方、給与なら仕入税額控除はできず、源泉徴収が必要です。区分しだいで税額が変わるため、確認されやすいのです。

国税庁の通達では、①他の人が代わりに仕事をできるか、②仕事の進め方や時間を指示されるか、③完成しなかったときのリスクを負うか、④材料や道具を自分で用意するか、などを総合して判断するとされています。「外注」と名前をつけても、実態が雇用に近ければ給与と判断される可能性があります。

また、工事の完成・引渡しの時期と売上を計上した時期がずれていないか(期ずれ)もよく見られます。決算日をまたぐ工事は特に注意が必要です。

  • 外注先とは工事ごとの契約書・請求書を残す
  • 道具・材料を誰が負担しているかを明確にする
  • 工事ごとに完成日・引渡日を記録し、その日で売上を計上する

運送業:傭車と給与、車両関係費

運送業では、ドライバーへの支払いや、他の運送業者に仕事を回す傭車(ようしゃ)の支払いが、外注費なのか給与なのかが確認されることがあります。判断の考え方は建設業と同じで、車両や燃料を誰が負担しているか、指示の受け方などが材料になります。過去の国税庁の公表資料では、個人の「ダンプ運送」「特定貨物自動車運送」が申告漏れの大きい業種の上位に入った年もあります。

燃料費や高速代、車両の修理費は金額が大きく、私用の車と混ざっていないかも確認されやすい点です。

  • 運行記録(日報)と請求書・支払いを対応させて保存する
  • 事業用と私用の車両・カードを分ける

個人の専門職:IT・フリーランス、士業・コンサル

少人数で仕事をし、取引先からの報酬で売上が立つ業種です。支払調書との照合や、仕事と私生活の境目にある支出が確認されやすくなります。

IT・フリーランス:家事按分と入金の把握

自宅で仕事をするフリーランスは、家賃や電気代、通信費、パソコン代などを仕事用と私用に分ける家事按分がポイントです。国税庁は、仕事に直接必要だったことを明らかに区分できる部分だけが必要経費になると説明しています。根拠のない高い割合は、指摘を受けやすくなります。

また、クラウドソーシング、複数の取引先、海外のサービスなど、入金経路がばらばらになりやすいのも特徴です。原稿料やデザイン料、講演料などは、支払った側が源泉徴収をし、支払調書で税務署に報告しているため、申告した売上との突き合わせが行われます。個人の統計で「コンテンツ配信」「システムエンジニア」が上位に入っていることも参考になります。

  • 按分割合は、仕事部屋の面積や使用時間など根拠をメモしておく
  • 仕事用の口座・カードを一つにまとめる
  • 年末に取引先ごとの売上と支払調書・源泉徴収額を照合する

士業・コンサル:報酬の時期と交際費

個人の統計で「経営コンサルタント」は4位で、過去にも上位に入ることが多い業種です。少人数で高額の報酬を受け取ることが多いため、1件の計上漏れでも金額が大きくなりやすいのが理由の一つです。

仕事が終わった時期と請求・入金の時期がずれやすく、売上の期ずれに注意が必要です。また、会食や出張など、仕事と私生活の境目があいまいな支出は、交際費や家事関連費として内容を確認されることがあります。弁護士・税理士などの報酬は、支払った会社が源泉徴収して支払調書を出しているため、申告との照合も行われます。

  • 請求書に番号を付け、仕事の完了日と売上計上日をそろえる
  • 会食は相手・目的をメモに残す

計上の時期と資産の扱いが問われる業種:EC・不動産賃貸

売上をいつ、いくらで計上するか、在庫や建物をどう扱うかで所得が変わる業種です。

EC・ネット販売:プラットフォーム売上と在庫

ネットショップやモールでの販売では、入金額は手数料や送料を差し引いた後の金額であることが多く、入金額をそのまま売上にしてしまうミスが起きがちです。本来は売上の総額を計上し、手数料を経費にします。また、仕入れた商品のうち売れ残った分は、その年の経費にはならず在庫(棚卸資産)として扱う必要があります。

国税庁は、ネット通販やネットオークションなどを行う個人について、資料情報を集めて分析し、積極的に調査していると公表しています。法人の統計でも「中古品小売」が不正発見割合の上位に入っています。

  • 販売管理画面から月ごとの売上明細をダウンロードして保存する
  • 期末に在庫を数え、数量と金額を記録する
  • フリマアプリなど個人用アカウントでの販売も区別して管理する

不動産賃貸:一時金と修繕費

家賃は毎月入るため漏れにくい一方、礼金・更新料・返さない敷金などの一時金の計上漏れが起きやすいです。国税庁によると、礼金や更新料は契約の効力が生じた日(引渡しが必要なものは引渡日)に、敷金は返さなくてよいことが確定した日に収入となります。

経費では、修理代が一度に経費にできる修繕費なのか、建物の価値を高める資本的支出(減価償却で何年かに分けて経費にするもの)なのかがよく確認されます。法人に貸している場合は、借りている法人から「不動産の使用料等の支払調書」が税務署に出ている点も知っておきましょう。

  • 物件・契約ごとに家賃と一時金の一覧を作る
  • 工事は見積書・請求書で内容(原状回復か、性能アップか)を残す

医療・歯科:自費診療の計上

保険診療の報酬は、審査支払機関(医療情報基盤・診療報酬審査支払機構など)を通じて支払われるため、記録がはっきり残ります。一方、自費診療(自由診療)は窓口で現金やカードで支払われることが多く、計上漏れが起きると気づきにくい部分です。個人の統計では、令和6事務年度に「眼科医」が2位に入りました。

そのほか、高額な医療機器の減価償却、薬品・材料の在庫、家族への給与の妥当性なども確認されることがあります。

  • 自費診療はカルテ・予約記録とレジ・入金を照合する
  • 期末に薬品・材料の在庫を確認する
  • 家族を雇う場合は勤務実態がわかる記録を残す

どの業種にも共通する備え

業種を問わず、調査で大切なのは「記録が残っていて、説明できること」です。

  • 売上の記録(レジ・請求書・販売明細)と通帳の入金を定期的に照合する
  • 事業用の口座とカードを分ける
  • 外注や業務委託は契約書を作り、実態と合わせる
  • 期末の在庫や、決算日をまたぐ取引を確認する
調査の連絡が来た後に、帳簿や書類を作り直したり、捨てたりすることは絶対に避けてください。改ざんや隠ぺいと判断されると、重加算税の対象になるおそれがあります。間違いに気づいた場合は、そのまま税理士に相談し、正しい対応を考えましょう。

当事務所には元国税調査官(国税OB)のスタッフが在籍しており、業種ごとの確認ポイントをふまえた調査前のチェックを行います。当日の立会いや税務署とのやりとりは税理士が対応し、オンラインでの立会いにも対応しています。

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よくある質問

Q. 税務調査に「狙われやすい業種」はありますか?

A. 国税庁の統計では、飲食・美容など現金売上が多い業種で不正発見割合が高くなっています。ただし、調査先は業種だけで決まるのではなく、申告内容や資料情報などから選ばれます。どの業種でも、記録をきちんと残すことが一番の備えです。

Q. 現金商売ではないので、調査は心配ないですか?

A. 振込中心でも、外注費と給与の区分、売上の期ずれ、家事按分、在庫など、確認される点はあります。むしろ記録が残りやすい分、申告とのずれは見つかりやすいと考えておきましょう。

Q. 外注さんを給与と判断されるとどうなりますか?

A. 一般的に、消費税の仕入税額控除が認められなくなるほか、源泉徴収をしていなかった分の源泉所得税を納める必要が出てくるなど、影響が広がる可能性があります。契約内容と実際の働き方を早めに確認しておくことが大切です。

まとめ

税務調査で確認されるポイントは、業種ごとのお金の流れ方によって変わります。飲食・美容は現金売上、建設・運送は外注費と給与の区分、フリーランスは家事按分、不動産は一時金と修繕費、ECは総額での売上と在庫、医療は自費診療、士業・コンサルは報酬の時期、というように「ミスが起きやすい場所」を知っておけば、日頃の対策も立てやすくなります。

自分の業種で何を準備すればよいか不安な方は、調査の連絡が来る前でも、来た後でもご相談いただけます。お気軽にご相談ください。

ご注意

本記事は2026年10月11日時点の法令・情報にもとづいて作成しています。税制は改正されることが多いため、お読みいただく時期によっては内容が変わっている場合があります。また、記事は一般的な情報をわかりやすくお伝えするためのもので、実際の取り扱いはお一人おひとりのご事情によって異なることがあります。内容には十分に注意しておりますが、本記事をもとにしたご判断の結果については責任を負いかねますので、あらかじめご了承ください。個別のご相談は、どうぞお気軽に当事務所へお問い合わせください。

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