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無申告はばれる?何年さかのぼるか・無申告加算税と期限後申告をわかりやすく解説
公開 2026.10.11

「何年も確定申告をしていない。いつか税務署から連絡が来るのでは」と、毎日落ち着かない気持ちで過ごしていませんか。忙しさや知識不足から申告しそびれ、そのまま言い出せなくなった、という方は少なくありません。
この記事では、無申告がなぜ税務署に把握されるのか、何年分さかのぼって税金がかかるのか、無申告加算税や延滞税はどのくらいか、そして今からできることを、2026年10月時点の法令と国税庁の公表資料をもとに、順番に説明します。
無申告とは?期限後申告との違い
無申告とは、確定申告をしなければならない人が、期限までに申告書を出していない状態のことです。個人の所得税なら、原則として翌年3月15日が期限です。会社(法人)の場合は、決算日の翌日から原則2か月以内が期限です。
期限を過ぎても、税務署が税額を決める処分(決定といいます)をするまでは、自分で申告書を出すことができます。これを期限後申告といいます。期限後申告は「遅れてしまったけれど、自分から正しく申告する」ための手続きです。
無申告で問題になるのは所得税や法人税だけではありません。売上が一定額を超えて消費税の納税義務がある人・会社は、消費税も無申告になっている可能性があります。また、所得税の申告をしていないと、住民税や個人事業税の計算にも影響します。
無申告はなぜ把握されるのか
「売上が小さいから」「現金でもらっているから」大丈夫、とは言えません。税務署は、さまざまな情報(資料情報)を集めて、申告と照らし合わせています。主なものを紹介します。
取引先が出す支払調書などの法定調書
会社などがお金を払うと、その内容を税務署に報告する書類を出すことが法律で決まっている場合があります。これを法定調書といいます。たとえば「報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書」「不動産の使用料等の支払調書」「給与所得の源泉徴収票」などです。原稿料・講演料、士業への報酬、法人が払う家賃などは、支払った側から税務署に情報が届く仕組みになっています。
銀行口座や取引先への調査(反面調査)
税務署の職員は、調査に必要なときは、本人だけでなく取引先や金融機関にも質問したり、帳簿や記録を確認したりできます(国税通則法74条の2など)。本人以外を調べることを反面調査と呼びます。国税庁が公表した無申告法人の事例でも、銀行調査で多額の入出金を把握したことが紹介されています。
プラットフォーム事業者などへの情報照会
ネット販売、民泊、アフィリエイト、クラウドソーシングなど、インターネットを通じた取引も対象です。令和2年1月1日以後は、高額・悪質な無申告者を特定するために特に必要な場合、国税局長が事業者に取引情報の報告を求められる制度があります(国税通則法74条の7の2)。国税庁は、シェアリングエコノミーなどの取引を行う個人について、資料情報を集めて分析し、調査をしていると公表しています。
海外の口座や送金の情報
海外との送金は「国外送金等調書」で、海外の金融口座の情報は各国との情報交換(CRS情報)で、税務署に届きます。国税庁の公表した事例でも、これらの情報から海外不動産の家賃収入が見つかったケースが紹介されています。
お店の様子やSNSなど
国税庁の令和6事務年度の資料では、税務署からの書面での問い合わせを無視していた会社について、SNSの更新や店舗への客の出入りから営業実態を把握し、実地調査につなげた事例が紹介されています。
国税庁の発表によると、令和6事務年度(令和6年7月〜令和7年6月)に所得税の無申告者に行った実地調査(特別・一般)は4,812件で、1件当たりの追徴税額は524万円と過去最高でした。無申告は、税務署が重点的に取り組んでいる分野の一つです。
無申告は何年分さかのぼる?
税務署が税額を決めたり直したりできる期間は、法律で決まっています(国税通則法70条)。
- 原則:法定申告期限から5年
- 偽りその他不正の行為で税金を免れた場合:法定申告期限から7年
つまり、単に申告を忘れていただけなら最大5年分、売上の記録を捨てる・他人名義で商売をするなど「不正」と判断される行為があれば最大7年分が対象になりえます。実際に何年分を調べるかは、事案ごとに税務署が判断します。国税庁が公表した事例には、転売収入を申告せず売上の書類を捨てていた人が、所得税を7年分課税され、重加算税も課されたケースがあります。
さかのぼる年数については、税務調査は何年さかのぼる? でもくわしく説明しています。
無申告加算税の割合(自主申告なら5%)
期限後申告をしたり、税務署に決定されたりすると、本来の税金とは別に無申告加算税がかかります。割合は「いつ申告したか」で大きく変わります。下の表は、国税庁のタックスアンサーに基づく、令和6年1月1日以後に法定申告期限が来るもの(所得税なら令和5年分以後)の割合です。
| 申告したタイミング | 納付税額が50万円まで | 50万円超〜300万円 | 300万円超 |
|---|---|---|---|
| 調査の事前通知の前に、自分から期限後申告 | 5% | 5% | 5% |
| 調査の事前通知の後、調査で指摘される前 | 10% | 15% | 25% |
| 調査を受けた後、または税務署の決定後 | 15% | 20% | 30% |
300万円を超える部分の割合は、近年の税制改正で新しく設けられたものです。一番の違いは、税務署から調査の連絡(事前通知)が来る前に自分から申告すれば5%で済むという点です。調査を受けてからでは、15%〜30%になります。
さらに上乗せされる場合
- 過去にも無申告加算税や重加算税を課されたことがある場合(前年・前々年や、過去5年以内など一定の場合)は、さらに10%上乗せされます。
- 令和5年分以後の所得税などで、調査のときに帳簿を見せられなかった、または帳簿に書かれた売上が本来の2分の1未満だった場合は10%、3分の2未満だった場合は5%が上乗せされます。
- 売上を隠す・書類を作り変えるなどの「隠ぺい・仮装」があると、無申告加算税の代わりに重加算税(40%)がかかります。過去5年以内に同じ税目で重加算税などを受けていれば50%になります。
無申告加算税がかからない場合
期限から1か月以内に自分から申告し、税金も法定納期限までに全額納めているなど、期限内に申告する意思があったと認められる一定の場合には、無申告加算税はかかりません。ただし、過去5年以内に無申告加算税などを受けていると対象外です。
延滞税もかかる
納める税金が遅れた分、利息のような延滞税もかかります。期限後申告の場合、法定納期限の翌日から実際に納める日までの日数で計算されます。
| 期間 | 令和8年(2026年)の割合 |
|---|---|
| 期限後申告書を出した日から2か月を経過する日まで | 年2.8% |
| それ以降 | 年9.1% |
延滞税の割合は毎年見直されます。申告するだけでなく、できるだけ早く納めることで、延滞税の負担を抑えられます。一度に払えない場合は、税務署に納付の相談をすることもできます。
青色申告への影響
青色申告をしている人は、無申告や期限後申告で特典を失うおそれがあります。
- 個人:青色申告特別控除の55万円・65万円は、確定申告期限までに申告書を出すことが条件です。期限後申告では、この控除は受けられません(要件を満たせば10万円の控除になります)。
- 法人:国税庁の事務運営指針では、2事業年度続けて申告書を期限内に出さなかった場合、青色申告の承認を取り消すとされています。取り消されると、赤字(欠損金)の繰越控除などの青色申告の特典が使えなくなります。
個人でも、調査の際に帳簿を見せられないなど帳簿の備え付けや保存に問題があると、青色申告の承認が取り消される場合があります。
今からできること
無申告に気づいたら、早めに動くほど負担を軽くできます。
1. 税務署から連絡が来る前に期限後申告をする
前に見たとおり、調査の事前通知の前に自分から申告すれば、無申告加算税は5%で済みます。一番大きな差がつくのはここです。対象になりそうな年分(原則として過去5年分)を確認しましょう。
2. 帳簿は「作り直す」のではなく「集計する」
何年分もの申告をするとき、きれいな帳簿をゼロから作ろうとすると手が止まりがちです。まずは通帳の入出金、取引先からの請求書・支払調書、カードの明細、領収書などを集めて、年ごとの売上と経費を集計することから始めます。
残っている請求書や領収書、通帳などは捨てたり書き換えたりしないでください。書類を捨てることは隠ぺい行為とみなされ、重加算税の対象になるおそれがあります。手元にない資料は、取引先に再発行を頼む、ネットバンキングやカード会社の明細を取り寄せる、といった方法で集めます。
3. 税理士に相談する
複数年分の申告では、消費税の申告が必要か、経費をどこまで入れられるか、納付をどう進めるかなど、判断が必要なことがたくさんあります。当事務所では、無申告のご相談もお受けしています。元国税調査官(国税OB)のスタッフも在籍しており、顧問契約がなくてもスポットでのご依頼が可能です。初回のご相談は無料です。
すでに税務署から調査の連絡が来ている場合は、税務調査の連絡が来たら も参考にしてください。
よくある質問
Q. 売上が少ないので、ばれないのでは?
A. 売上の大小にかかわらず、取引先からの支払調書、銀行口座、インターネット取引の情報などから把握される可能性があります。また、所得が少なくても申告義務がある場合があります。「ばれるかどうか」ではなく、申告が必要かどうかで判断しましょう。
Q. 何年分を申告すればいいですか?
A. 税務署が課税できる期間は原則として法定申告期限から5年(不正がある場合は7年)です。どの年分に申告義務があるかは、各年の所得の状況によって変わるため、年ごとに確認が必要です。
Q. 税務署から「お尋ね」の文書が届きました。今から申告しても5%ですか?
A. 5%になるのは、調査の事前通知を受ける前に自分から申告した場合です。届いた文書が調査の事前通知にあたるかどうかは内容によるため、文書を確認したうえで早めにご相談ください。いずれにしても、放っておかずに対応することが大切です。
Q. 一度に税金を払えないときはどうすればいいですか?
A. 申告は先に済ませ、納付については税務署に相談してください。分割での納付など、事情に応じた対応が検討されます。延滞税は納付が遅れるほど増えるため、払える分から早めに納めるのが基本です。
まとめ
無申告は、法定調書、銀行や取引先への調査、インターネット取引の情報などから把握される可能性があり、税務署は無申告への対応に力を入れています。課税されるのは原則5年分、不正があれば7年分です。一方で、調査の連絡が来る前に自分から期限後申告すれば、無申告加算税は5%で済み、延滞税も早く納めるほど少なくなります。
「どこから手をつければいいかわからない」という段階でもかまいません。資料が揃っていなくても、集め方から一緒に考えます。お気軽にご相談ください。
ご注意
本記事は2026年10月11日時点の法令・情報にもとづいて作成しています。税制は改正されることが多いため、お読みいただく時期によっては内容が変わっている場合があります。また、記事は一般的な情報をわかりやすくお伝えするためのもので、実際の取り扱いはお一人おひとりのご事情によって異なることがあります。内容には十分に注意しておりますが、本記事をもとにしたご判断の結果については責任を負いかねますので、あらかじめご了承ください。個別のご相談は、どうぞお気軽に当事務所へお問い合わせください。
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