HOME 〉 よくわかる税務ガイド 〉 記事
【税務調査の追徴課税はいくら?】加算税・重加算税・延滞税の割合と計算例をやさしく解説
公開 2026.10.11

「税務調査で申告漏れを指摘されたら、いったいいくら払うことになるのだろう」。調査の連絡を受けた方が、いちばん不安に感じるのがこの点ではないでしょうか。
この記事では、追徴課税のしくみ(本税+加算税+延滞税)を、2026年10月時点の法令と国税庁の資料にもとづいて整理します。加算税の割合、自主的に直した場合の扱い、令和6年から重くなった点、延滞税の割合と計算例まで、順番に見ていきましょう。
追徴課税は「本税+加算税+延滞税」でできている
税務調査で申告の誤りが見つかったときに納めるお金は、大きく次の3つに分かれます。
- 本税:本来納めるべきだったのに足りなかった税金そのもの
- 加算税:申告や納付が正しくなかったことに対する、行政上のペナルティ(過少申告加算税・無申告加算税・不納付加算税・重加算税)
- 延滞税:納めるのが遅れたことに対する、利息のようなもの
このほか、所得税や法人税が増えると、住民税や事業税なども連動して増えることがあります。この記事では国税(所得税・法人税・消費税など)の部分を中心に説明します。
加算税と延滞税は、本税とは別に計算されます。延滞税は本税に対してかかり、加算税そのものには延滞税はかかりません。
加算税は4種類。割合は「いつ直したか」で変わる
加算税は国税通則法65条〜68条で定められています。どの加算税がかかるか、何%になるかは、税務署から調査の通知(調査通知)を受ける前か後か、そして調査で誤りを指摘されることを予知して直したかどうかで大きく変わります。
ここでいう調査通知とは、実地の調査を行うこと、調査の対象となる税目、対象となる期間の通知のことです。ふつうは電話で「〇月〇日に、所得税と消費税の令和〇年分から〇年分まで調査に伺います」と伝えられる、あの連絡です。
過少申告加算税(申告はしたが、税額が少なかった)
| 直した時期 | 割合 |
|---|---|
| 調査通知の前に、自主的に修正申告 | かからない |
| 調査通知の後、調査で指摘される前に修正申告 | 5%(一定額を超える部分は10%) |
| 調査で指摘された後(更正の予知後) | 10%(一定額を超える部分は15%) |
「一定額」とは、当初の申告で納めた税額と50万円のいずれか多い金額のことです。追加で納める税額がこれを超えた部分だけ、5%上乗せされます。
なお国税庁のFAQでは、税務署からの電話などによる見直しの依頼(調査ではなく行政指導)を受けて自主的に修正申告した場合、延滞税はかかることがあるものの、過少申告加算税はかからないと説明されています。
無申告加算税(期限までに申告しなかった)
| 直した時期 | 50万円以下の部分 | 50万円超〜300万円の部分 | 300万円超の部分 |
|---|---|---|---|
| 調査通知の前に、自主的に期限後申告 | 5% | 5% | 5% |
| 調査通知の後、調査で指摘される前 | 10% | 15% | 25% |
| 調査で指摘された後(決定の予知後) | 15% | 20% | 30% |
300万円を超える部分の区分(25%・30%)は令和5年度の税制改正で設けられ、令和6年1月1日以後に法定申告期限が来るもの(所得税なら令和5年分以降)に適用されています。また、申告しなかったことに正当な理由がある場合は、無申告加算税はかかりません。
期限後申告でも、法定申告期限から1か月以内に自主的に申告し、期限内に申告する意思があったと認められる場合(納める税額の全額を法定納期限までに納付していること、過去5年以内に無申告加算税や重加算税を課されていないこと等)には、無申告加算税はかかりません。
不納付加算税(源泉所得税を期限までに納めなかった)
給与や報酬から差し引いた源泉所得税を、期限までに納めなかったときにかかります。割合は原則10%です。税務署から納税の告知を受ける前に、調査を予知せず自主的に納めた場合は5%に下がります。さらに、法定納期限から1か月以内に納め、期限内に納める意思があったと認められる一定の場合は、かかりません。
重加算税(事実を隠したり、偽ったりしていた)
| もとになる加算税 | 重加算税の割合 |
|---|---|
| 過少申告加算税・不納付加算税に代えて | 35% |
| 無申告加算税に代えて | 40% |
売上を別の口座に入れて隠す、架空の領収書で経費を作るなど、事実を隠したり偽ったりして申告していた場合には、ほかの加算税に代えて重加算税が課されます。調査を予知せず自主的に修正申告した場合には、重加算税は課されないしくみです。
また、過去5年以内に同じ税目で無申告加算税(調査による場合)や重加算税を課されたことがある場合などは、さらに10%加重されます。
令和6年1月から重くなったポイントと適用時期
加算税はここ数年の改正で、帳簿をきちんとつけていない場合や、無申告をくり返す場合に重くなりました。主な改正を整理します。
| 改正 | 内容 | 適用時期 |
|---|---|---|
| 平成28年度改正 | 調査通知の後、指摘前の修正申告にも加算税(過少5%・無申告10%など)。5年以内に無申告加算税・重加算税を課された人への10%加重 | 平成29年1月1日以後に法定申告期限等が来るもの |
| 令和4年度改正 | 調査で帳簿を提示しない、帳簿の売上の記載が著しく不十分な場合に、過少申告加算税・無申告加算税を5%または10%加重 | 令和6年1月1日以後に法定申告期限が来る所得税・法人税・消費税 |
| 令和5年度改正 | 無申告加算税の300万円超部分を30%に。前年・前々年に無申告加算税等を課された人への10%加重 | 令和6年1月1日以後に法定申告期限が来るもの |
帳簿を出せない・記載が足りない場合の加重
国税庁の「帳簿の提出がない場合等の加算税の加重措置に関するQ&A」によると、税務調査で売上に関する帳簿の提示等を求められ、次に当てはまると加算税が上乗せされます。
- 帳簿を提示・提出しなかった、または売上の記載が本来の2分の1未満だった:10%加重
- 売上の記載が本来の3分の2未満だった(上の場合を除く):5%加重
所得税では令和5年分から、3月決算の法人では令和6年3月期から対象になる計算です。災害などやむを得ない事情で帳簿を出せない場合は対象外とされています。日ごろの記帳がそのまま加算税の重さに影響する、ということです。
前年・前々年にも無申告だった場合の加重
前年や前々年の同じ税目について、無申告加算税(調査通知前の自主的な期限後申告による5%のものを除く)や、無申告に代わる重加算税を課されたことがある場合などは、無申告加算税や重加算税がさらに10%加重されます。たとえば300万円を超える部分の無申告加算税は、30%+10%=40%になります。無申告が続いている方は、早めに手を打つことが大切です。無申告については無申告の記事もご覧ください。
延滞税のしくみと2026年の割合
延滞税は、法定納期限の翌日から、実際に納めた日までの日数に応じてかかります。割合は年ごとに見直され、国税庁のタックスアンサー(No.9205)では次のとおりとされています。
| 期間 | 納期限の翌日から2か月以内 | 2か月を過ぎた後 |
|---|---|---|
| 令和8年(2026年) | 年2.8% | 年9.1% |
| 令和4年〜令和7年 | 年2.4% | 年8.7% |
| 法律上の本来の割合 | 年7.3% | 年14.6% |
調査を受けて修正申告をする場合、その修正申告をした日が納期限になります。修正申告と同時に納めれば、延滞税は低いほうの割合で計算されます。納付が遅れて2か月を過ぎると、高いほうの割合に切り替わります。
1年を超える部分は計算に入れない特例
期限内に申告していた場合、法定申告期限から1年を過ぎてから修正申告をしたときは、1年を過ぎた日の翌日から修正申告をした日までの期間は、延滞税の計算から除かれます(国税通則法61条)。期限後申告の場合も、その申告から1年を過ぎた部分について同じような特例があります。
ただし、偽りその他不正な行為で税金を免れていた場合(調査を予知して修正申告した場合など)は、この特例は使えません。重加算税がかかるような事案では、延滞税も重くなりやすいということです。
端数の扱い:加算税・延滞税の計算のもとになる本税は1万円未満を切り捨て、計算した金額は100円未満を切り捨てます。延滞税は全額が1,000円未満、加算税は全額が5,000円未満であれば納める必要はありません(国税通則法118条・119条)。
計算例:本税100万円の申告漏れがあった場合
個人事業主の令和6年分の所得税について、税務調査で本税100万円の申告漏れを指摘されたケースで考えます。当初の申告で納めた税額は150万円、令和8年(2026年)10月30日に修正申告をして、同じ日に全額を納めたとします。令和6年分の法定納期限は令和7年3月17日です。
ケース1:単純な誤り(重加算税なし)
- 本税:1,000,000円
- 過少申告加算税:1,000,000円×10%=100,000円(追加税額が当初税額150万円以下なので上乗せなし)
- 延滞税:令和7年3月18日〜12月31日(289日)は年2.4%で19,002円、令和8年1月1日〜3月17日(76日)は年2.8%で5,830円。合計24,832円→24,800円(1年を過ぎた3月18日〜10月30日は計算から除かれます)
- 合計:約112万円
ケース2:売上を隠していた(重加算税あり)
- 本税:1,000,000円
- 重加算税:1,000,000円×35%=350,000円
- 延滞税:1年を超える期間を除く特例がないため、令和7年3月18日〜12月31日(289日、年2.4%)19,002円+令和8年1月1日〜10月30日(303日、年2.8%)23,243円=42,245円→42,200円
- 合計:約139万円
ケース3:調査通知の前に自分で気づいて修正した
同じ100万円でも、調査通知の前に自主的に修正申告をしていれば、過少申告加算税はかかりません。延滞税は日数に応じてかかりますが、早く直すほど少なくなります。
上の計算は、しくみを理解するための簡単な例です。実際には複数の年分や消費税、住民税・事業税などが関係し、金額は事案ごとに異なります。正確な金額は国税庁の延滞税計算ページや専門家にご確認ください。
国税庁の統計で見る「調査1件あたりの追徴税額」
国税庁が令和7年12月に公表した令和6事務年度(令和6年7月〜令和7年6月)の資料では、次の数字が示されています。いずれも加算税を含んだ金額です。
| 区分 | 調査1件当たりの追徴税額 |
|---|---|
| 所得税の実地調査(個人) | 241万円 |
| 法人税・消費税の実地調査(法人) | 634万2千円 |
ただし、これは高額な事案も含めた平均です。指摘がまったくなかった調査もあれば、数千万円になる事案もあります。「平均だから自分もこのくらい」と考えるより、自分の帳簿と申告に誤りがないかを確認することが大切です。
追徴課税を少しでも抑えるためにできること
- 調査通知の前に気づいたら、すぐ自主的に修正する:過少申告加算税はかからず、無申告加算税も5%で済みます
- 調査通知の後でも、指摘される前に修正する:調査で指摘された後より割合が低くなります
- 帳簿と証拠書類をそろえておく:帳簿を提示できない・記載が足りないと加算税が加重されます
- 修正申告をしたら早めに納付する:延滞税は納めるまで日数に応じて増えていきます
- 資料を捨てない・作り直さない:事実と違う書類を作ると、重加算税や罰則の問題になりかねません
当事務所では、元国税調査官(国税OB)のスタッフが調査前に帳簿や申告内容をチェックし、自主的に直すべき点がないかを一緒に確認します。調査当日の立会い、税務署との話し合い、修正申告は税理士が対応します。
よくある質問
Q. 加算税は交渉すれば減らしてもらえますか?
A. 加算税の割合は法律で決まっていて、交渉で割合そのものを下げることはできません。ただし、どの部分が「隠ぺい・仮装」にあたるのか、正当な理由があるのかといった事実関係は、きちんと説明する余地があります。事実にもとづいて主張することが大切です。
Q. 調査の連絡が来た後に修正申告しても意味はありますか?
A. あります。調査通知の後でも、調査で指摘される前に修正申告すれば、過少申告加算税は5%(一定額を超える部分は10%)となり、指摘後の10%(同15%)より低くなります。ただし、調査通知前の自主修正のように「かからない」扱いにはなりません。
Q. 延滞税はいつまで増え続けますか?
A. 本税を納める日まで増えていきます。修正申告をしてから2か月を過ぎると、割合が年2.8%から年9.1%(2026年中の期間の場合)に上がります。一度に払えない場合は、税務署に納付の相談をすることも検討しましょう。
Q. 何年分までさかのぼって追徴されますか?
A. 原則は5年、偽りや不正がある場合は7年までさかのぼることがあります。詳しくは何年さかのぼるかの記事をご覧ください。
まとめ
税務調査の追徴課税は「本税+加算税+延滞税」でできています。加算税は、調査通知の前に自分で直せばかからない、または軽くなります。一方で、隠ぺい・仮装があれば重加算税(35%・40%)がかかり、延滞税の特例も使えません。令和6年からは、帳簿を出せない場合や無申告をくり返す場合の加重も始まっています。
調査の連絡が来て不安な方、過去の申告に心当たりがある方は、早めに専門家に相談することで負担を抑えられる場合があります。当事務所は顧問契約がなくてもスポットでお受けし、オンライン立会いで全国に対応しています。初回相談は無料です。お気軽にご相談ください
ご注意
本記事は2026年10月11日時点の法令・情報にもとづいて作成しています。税制は改正されることが多いため、お読みいただく時期によっては内容が変わっている場合があります。また、記事は一般的な情報をわかりやすくお伝えするためのもので、実際の取り扱いはお一人おひとりのご事情によって異なることがあります。内容には十分に注意しておりますが、本記事をもとにしたご判断の結果については責任を負いかねますので、あらかじめご了承ください。個別のご相談は、どうぞお気軽に当事務所へお問い合わせください。
新宿パートナーズ税理士事務所


