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【税務調査は何年さかのぼる?】原則3年・最長7年の理由と「時効」の考え方を解説
公開 2026.10.11

税務署から調査の連絡が来ると、「いったい何年前までさかのぼって調べられるのだろう」と心配になりますよね。昔の領収書が残っているか、当時の処理が正しかったか、不安な方も多いと思います。
この記事では、税務調査で実際に調べられることが多い期間と、法律で決まっている「さかのぼれる期間(期間制限)」、無申告の場合、税金の「時効」の考え方、調査の対象期間が延びるケースを、順番にやさしく説明します。
税務調査で調べられるのは「3年分」が多い
個人事業主や小さな会社の一般的な税務調査では、直近3年分(法人なら3期分)を対象とするケースが多いといわれています。これは実務上の傾向です。法律で「調査は3年分」と決まっているわけではありません。
どの期間を調べるかは、調査の前に税務署から伝えられます。国税通則法74条の9では、実地の調査(会社やお店に来て行う調査)の前に、原則として次のような内容を知らせることになっています。
- 調査を始める日時と場所
- 調査の目的
- 調査の対象となる税目(所得税・法人税・消費税など)
- 調査の対象となる期間
- 調査の対象となる帳簿や書類
つまり「何年分を調べるか」は、まず事前通知で伝えられた対象期間で確認できます。ただし、後で説明するとおり、調査の途中で期間が広がることもあります。
法律で決まっている「さかのぼれる期間」
税務署が申告内容を直して税額を決める手続を「更正(こうせい)」、申告がない人に税額を決める手続を「決定」といいます。これらができる期間は、国税通則法70条で決まっています。いわば、税務署が税金を直せる期限です。
| ケース | さかのぼれる期間 | 根拠 |
|---|---|---|
| 通常(申告内容の誤りなど) | 法定申告期限から5年 | 国税通則法70条1項 |
| 偽りその他不正の行為があった場合 | 法定申告期限から7年 | 国税通則法70条5項 |
| 法人税の欠損金(赤字)の額を直す更正 | 法定申告期限から10年 | 国税通則法70条2項 |
「法定申告期限」とは、本来の申告の期限のことです。個人の所得税なら原則として翌年3月15日(土日祝日の場合は翌平日)、会社の法人税なら原則として決算日の翌日から2か月以内です。
以前は、税金を増やす更正ができる期間は原則3年でした。平成23年12月の税制改正で5年に延びています。同時に、納税者が「払いすぎた税金を返してほしい」と求める「更正の請求」の期間も、原則1年から5年に延びました(国税庁「税務調査手続に関するFAQ(一般納税者向け)」問1)。
実務の「3年」と法律の「5年・7年」の関係
法律上は5年さかのぼれるのに、実務で3年分の調査が多いのはなぜでしょうか。国税庁がその理由を公表しているわけではありません。ただ、まず直近の期間を確認し、そこで問題が見つかれば、さらに前の年に広げるという進め方がとられることが多いと考えられます。3年分で調査が始まっても、法律上は5年(不正があれば7年)までさかのぼれると理解しておきましょう。
「偽りその他不正の行為」があると7年に延びる
期間が7年に延びるのは、「偽りその他不正の行為」によって税金を免れた場合などです(国税通則法70条5項)。典型的には、次のようにわざと事実を隠したり、偽ったりする行為が考えられます。
- 売上の一部を帳簿に載せない(売上の除外)
- 実際にはない経費を計上する(架空の経費)
- 請求書や領収書の日付・金額を書き換える
- 二重帳簿をつくる、取引を他人名義の口座で受け取る
一方で、単純な計算ミスや、税金のルールを知らずに処理を間違えたような場合は、一般的には不正の行為とは区別されます。ただし、どちらに当たるかは個別の事実で判断されます。自分で決めつけず、専門家に相談するのが安心です。
なお、不正があったと判断されると、さかのぼる期間が延びるだけでなく、税額に上乗せされる加算税も重くなる(重加算税)ことがあります。加算税の詳しい仕組みは追徴課税と加算税の記事をご覧ください。
無申告の場合は何年さかのぼる?
申告をしていない(無申告)の場合でも、考え方は同じです。税務署が税額を決める「決定」は、法定申告期限から原則5年までできます(国税通則法70条1項)。
ただし、申告が必要だと分かっていながら、売上を隠すなどして意図的に申告しなかったと判断されると、7年までさかのぼられる可能性があります。「申告していなければ見つからない」ということはありません。
無申告に気づいたら、税務署から連絡が来る前に自分から申告(期限後申告)をすることで、加算税が軽くなる場合があります。詳しくは無申告の記事で説明しています。当事務所では無申告のご相談もお受けしています。
税金の「時効」の考え方
「税金にも時効はあるの?」という質問をよくいただきます。税金の世界では、似た言葉で2つの期限があります。
| 期限の種類 | 内容 | 期間 |
|---|---|---|
| 更正・決定の期間制限 | 税務署が税額を直したり決めたりできる期限 | 原則5年(不正は7年、法人の欠損金は10年) |
| 徴収権の消滅時効 | 決まった税金を国が取り立てられる期限 | 法定納期限から5年 |
国税通則法72条では、国が税金を取り立てる権利(徴収権)は、法定納期限から5年間使わないと時効で消えるとされています。この時効は、納税者が「時効です」と主張(援用)しなくても成立する一方、納税者の側から時効の利益を放棄することもできません。
ただし、時効はそのまま進むとは限りません。更正や決定、督促などがあると、時効の完成が猶予されたり、進行がリセット(更新)されたりします(国税通則法73条)。また、偽りその他不正の行為で税金を免れた場合は、法定納期限から2年間は時効が進みません(同条3項)。
「あと少しで時効だから黙っていよう」という考え方はおすすめできません。調査で見つかれば、本来の税金に加えて加算税や延滞税がかかります。気になる年があるなら、早めに相談して正しく直すほうが、結果的に負担を抑えられることが多いです。
調査の対象期間が延びるケース
事前通知で「3年分」と言われても、調査の途中で対象が広がることがあります。国税庁のFAQ(問32)では、例えば、見つかった誤りと同じ誤りが、通知した期間より前にも起きていると疑われる場合に、通知していない期間や税目も調べることがあると説明されています。
- 同じ誤りが毎年続いている(例:毎年同じ売上の計上漏れがある)
- 不正の行為が疑われる(この場合は最長7年まで)
- 別の税目にも影響する誤りがある(例:法人税の誤りが消費税にも影響する)
対象を広げるときは、追加する税目や期間について説明を受けることになっています。ただし、追加の理由までは説明されず、対象の拡大そのものに不服申立てはできないとされています(同FAQ問32)。
古い資料を見せてと言われるのは「調査の拡大」とは限らない
例えば、減価償却費が正しいかを確かめるために、何年も前に買った機械の購入時の書類を見せてほしいと言われることがあります。国税庁のFAQ(問9)では、これはあくまで対象年の調査のための確認であり、昔の年を調査しているわけではないと説明されています。
一度調査を受けた年が、もう一度調べられることも
調査が終わった年は、原則として再び調査されません。ただし、取引先の調査などで新しい情報が見つかり、誤りがあると認められる場合には、もう一度調べられることがあります(国税通則法74条の11第5項、同FAQ問28)。
帳簿や書類は何年保存する?
さかのぼって調べられる以上、帳簿や書類は決められた期間きちんと残しておく必要があります。主な保存期間は次のとおりです。
| 区分 | 主な保存期間 |
|---|---|
| 会社(法人)の帳簿・書類 | 申告期限の翌日から7年(欠損金が生じた年度などは10年) |
| 個人事業主の帳簿 | 7年 |
| 個人事業主の請求書・領収書などの書類 | 5年または7年(書類の種類や青色・白色で異なる) |
法人の欠損金が生じた年度の10年保存は、平成30年4月1日以後に始まった事業年度が対象です(それより前は9年)。個人の書類は種類によって期間が分かれるため、迷ったら7年残しておくと安心です。
調査が決まってから、古い資料を捨てたり、作り直したりするのは絶対にやめましょう。資料の隠ぺいや改ざんと受け取られ、かえって不正を疑われる原因になります。足りない資料があれば、そのまま正直に伝えるのが基本です。
何年分の調査に、どう備えればいい?
まずは事前通知で伝えられた対象期間の帳簿・通帳・請求書・領収書をそろえ、売上や経費の大きな動きを見直しておきましょう。そのうえで、同じ処理を毎年続けているもの(例:同じ家族への外注費、毎年の在庫の数え方)は、通知期間より前の年にも影響することがあるので、念のため確認しておくと安心です。
当事務所には元国税調査官(国税OB)のスタッフが在籍しており、調査の前に、どの期間のどこが確認されやすいかをチェックします。当日の立会いや税務署とのやり取り、修正申告は税理士が対応します。顧問契約がなくてもスポットでご依頼いただけます。
よくある質問
Q. 3年分の調査と言われたら、4年前以前は調べられませんか?
A. そうとは限りません。法律上は原則5年、不正があれば7年までさかのぼれます。調査の途中で同じ誤りが前の年にもあると疑われると、対象期間が追加されることがあります(国税庁FAQ問32)。
Q. 7年前まで調べられるのはどんなときですか?
A. 売上を隠す、架空の経費を計上するなど、「偽りその他不正の行為」によって税金を免れた場合などです(国税通則法70条5項)。単純なミスは一般的には区別されますが、判断は個別の事実によります。
Q. 何年も申告していません。全部の年をさかのぼって申告すべきですか?
A. 税務署が税額を決められるのは原則5年(意図的な場合は7年)です。どの年まで申告すべきかは状況によって変わるため、まずは専門家に相談することをおすすめします。自分から申告すると、加算税が軽くなる場合があります。
Q. 古い領収書を捨ててしまいました。どうなりますか?
A. 残っている帳簿や通帳、取引先の資料などで説明できる場合もあります。捨ててしまったことは正直に伝え、後から作り直すことはしないでください。保存期間内の資料は、今後はきちんと残しておきましょう。
まとめ
税務調査では直近3年分を調べるケースが多いものの、法律上は原則5年、不正があれば7年、法人の欠損金は10年までさかのぼれます。税金を取り立てる権利の時効は原則5年ですが、督促などで止まったりリセットされたりするうえ、不正がある場合は進みにくくなっています。
大切なのは、通知された期間の資料をそろえ、気になる点を早めに確認しておくことです。何年分を調べられそうか、どこを直すべきか不安な方は、初回相談無料でお話をうかがいます。オンラインでの立会いにも対応し、全国からご依頼いただけます。お気軽にご相談ください
ご注意
本記事は2026年10月11日時点の法令・情報にもとづいて作成しています。税制は改正されることが多いため、お読みいただく時期によっては内容が変わっている場合があります。また、記事は一般的な情報をわかりやすくお伝えするためのもので、実際の取り扱いはお一人おひとりのご事情によって異なることがあります。内容には十分に注意しておりますが、本記事をもとにしたご判断の結果については責任を負いかねますので、あらかじめご了承ください。個別のご相談は、どうぞお気軽に当事務所へお問い合わせください。
新宿パートナーズ税理士事務所


