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【税務調査で通帳はどこまで見られる?】個人口座・家族名義の口座と銀行調査をやさしく解説

公開 2026.10.12

税務調査で通帳はどこまで見られる?

「税務調査で、プライベートの通帳まで見せないといけないの?」「家族名義の口座も調べられるの?」。税務署から調査の連絡を受けると、お金の出入りがすべて記録されている通帳のことが特に気になる方は多いものです。

この記事では、税務調査で通帳がどこまで確認されるのかを、国税通則法と国税庁の「税務手続に関するFAQ」をもとに整理します。事業用口座と個人口座の違い、家族名義の口座(名義預金)の考え方、税務署から銀行への照会、マイナンバーと口座の関係、そして日頃の口座の分け方まで順番に見ていきましょう。

事業用の通帳は確認されるのが基本

税務調査の担当者は、調査について必要があるときは、質問をしたり、帳簿書類その他の物件を検査したり、その提示・提出を求めたりできると法律で定められています(国税通則法74条の2)。これを「質問検査権」といいます。

事業のお金が入出金される通帳は、売上や経費が帳簿どおりかを確かめるための大切な資料です。そのため、事業用の口座の通帳は、調査で確認されるのが基本と考えておきましょう。調査官は、通帳の入金と帳簿の売上が合っているか、出金と経費の記録が合っているかなどを照らし合わせます。

最近はネットバンキングで紙の通帳がない口座も多くあります。その場合は、取引明細を画面で見せたり、印刷したりして提示することになります。国税庁のFAQでも、電磁的記録(データ)の場合は画面上で確認できる状態にするか、印刷したものを渡すなどの方法が示されています。

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個人名義・プライベートの口座はどこまで見られる?

「事業とは関係ないプライベートの口座だから見せなくていい」と考える方もいます。しかし、国税庁のFAQ(問7)では、法人税の調査で、代表者名義の個人預金について事業との関係が疑われる場合に、その通帳の提示・提出を求めることは、法令で認められた質問検査等の範囲に含まれるという考え方が示されています。

つまり、名義が個人であっても、事業のお金が入っている可能性がある口座は確認の対象になりえます。たとえば、次のような場合です。

  • 取引先からの入金を個人口座で受け取ったことがある
  • 事業の経費を個人口座から支払っている
  • 事業用口座と個人口座の間で、お金を頻繁に移している
  • 現金売上を個人口座に入金している

国税庁が公表した法人の調査事例にも、売上代金を代表者の個人口座に入金させて売上を除外していたケースが紹介されています。こうした手口があるため、個人口座も確認されることがあるのです。

一方で、調査は「必要があるとき」に行われるものです。FAQでは、調査担当者は提示・提出が必要な理由を説明し、理解を得られるよう努めるとされています。なぜその口座の確認が必要なのか、遠慮せずに説明を求めて構いません。

家族名義の口座はどう扱われる?

所得税・法人税では「実際に誰の収入か」で判断

家族の名義の口座であっても、そこに入っているお金が実際には事業の売上であれば、名義に関係なく事業者本人の収入として扱われます。所得税法12条には「実質所得者課税の原則」があり、名義人が単なる名義人で、実際には別の人が収益を受け取っている場合は、実際に収益を受け取っている人のものとして税金を計算すると定められています(法人税法11条にも同じ趣旨の定めがあります)。

そのため、家族名義の口座で売上を受け取っている場合や、事業のお金を家族名義の口座に移している場合は、調査でその口座の取引を確認される可能性があります。

「名義預金」は主に相続税の論点

「名義預金」という言葉は、主に相続税の場面で使われます。たとえば、親が自分の収入から子ども名義で預金をしていて、通帳や印鑑も親が管理していた場合、その預金は名義が子どもでも実質的には親の財産と判断されることがあります。

国税庁の「相続税の申告書作成時の誤りやすい事例集」でも、名義にかかわらず、亡くなった人が資金を出していたなどの理由で亡くなった人の財産と認められるものは相続税の対象になり、家族名義の預貯金も申告に含める必要があると説明されています。家族名義の口座については、所得税・法人税の調査では「事業のお金が入っていないか」、相続税の調査では「実質的に誰の財産か」という視点で確認される、と整理するとわかりやすいでしょう。

税務署は銀行に直接問い合わせることがある

金融機関への照会(反面調査)

税務署は、調査を受けている本人だけでなく、取引先や金融機関などに対しても質問や資料の提示・提出を求めることがあります。これを反面調査といい、所得税・法人税・消費税については国税通則法74条の2、相続税・贈与税については74条の3に根拠があります。74条の3では、相続税などの調査で、財産を保管していると認められる人などにも質問・検査ができると定めています。

国税庁のFAQ(問23)によると、反面調査には事前通知に関する法令上の規定はありませんが、運用上、原則としてあらかじめその対象者(取引先など)へ連絡することとされています。反面調査の全体像は無予告調査・反面調査の記事で説明しています。

なお国税庁は、税務調査や滞納整理の際に金融機関へ行う預貯金等の照会のオンライン化を進め、対象となる金融機関の拡大に取り組んでいると公表しています(「税務行政のデジタル・トランスフォーメーション-税務行政の将来像2023-」)。

マイナンバーと預貯金口座

国税通則法74条の13の2では、銀行などの金融機関は、預金者の情報をマイナンバーで検索できる状態で管理しなければならないと定められています。

また、「預貯金者の意思に基づく個人番号の利用による預貯金口座の管理等に関する法律」(口座管理法)により、本人が希望すれば、金融機関にマイナンバーを届け出て口座に付番できます。これは本人の同意が前提の任意の制度で、金融機関は口座開設などの際に、付番を承諾するかどうかを確認することになっています。デジタル庁によると、令和7年4月1日から、マイナポータルなどを通じて複数の金融機関の口座にまとめて付番を申し出られるしくみが始まっています。

デジタル庁の案内では、マイナンバーを届け出たことをきっかけに、金融機関が行政機関などに預貯金の残高などを知らせることはないとされています。付番の主な目的は、相続時や災害時に口座を探しやすくすることです。

通帳を見せたくないときの考え方

通帳には、家族の生活費や医療費など、知られたくない情報も含まれています。見せたくないと感じるのは自然なことです。ただし、次の点は知っておきましょう。

  • 正当な理由なく提示・提出を拒むと罰則がある:国税庁のFAQでは、1年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金が科されることがあるとされています。詳しくは任意調査と強制調査の記事をご覧ください。
  • 拒んでも、銀行への照会で確認されることがある:本人が見せなくても、金融機関への反面調査で取引が確認される場合があります。
  • 調査担当者には守秘義務がある:調査で知った秘密を漏らしてはならない義務が課されています。

そのうえで、できることもあります。なぜその口座の確認が必要なのかを質問する、事業と関係のない口座であればその理由(生活費専用であることなど)を説明する、といった対応です。税理士が立ち会っていれば、確認の範囲や必要性について税務署と話し合うこともできます。

反対に、調査の前に通帳を処分したり、記帳内容を書き換えたりすることは絶対にやめましょう。事実を隠したと判断されると、重加算税の対象になるおそれがあります。どう対応すればよいか迷ったら、税務調査のご相談はこちらからお気軽にお問い合わせください。

日頃からできる口座の分け方

通帳の確認で慌てないためには、日頃から口座の役割をはっきりさせておくことがいちばんです。

口座使い方のポイント
事業用口座売上の入金、経費の支払い、税金の納付をここにまとめる
生活用口座生活費や個人的な支払いに使う。事業の入出金は混ぜない
家族名義の口座家族自身のお金だけを入れる。事業の売上を入れない
  • 事業用のクレジットカードも1枚に決めると、経費の確認がしやすくなります。
  • 事業用口座から生活費を移すときは、帳簿に記録しておきます(個人事業主なら「事業主貸」などの科目で処理します)。
  • 現金売上は、できるだけ早く、まとめて事業用口座に入金し、売上の記録と金額を合わせておきます。
  • 大きな入金や出金があったときは、通帳や明細に内容をメモしておくと、数年後でも説明できます。
  • 家族にお金を渡したときは、それが給与なのか、贈与なのか、立て替えの精算なのかがわかるように記録を残します。
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よくある質問

Q. 税務調査で通帳は何年分見られますか?

A. 原則として調査の対象となる期間の分です。対象期間は3年分が多いですが、内容によって5年・7年となることもあります。また、資産の取得時期を確かめるためなど、必要に応じて対象期間より前の資料の提示を求められることもあります。詳しくは何年さかのぼるかの記事をご覧ください。

Q. 銀行に照会されたら、本人にわかりますか?

A. 国税庁のFAQでは、反面調査の際は原則として「その対象者」(取引先や金融機関など)へあらかじめ連絡するとされています。調査を受けている本人へ連絡するかどうかについては、FAQでは触れられていません。

Q. 配偶者の口座で売上を受け取っていました。どうすればいいですか?

A. 名義が配偶者でも、実際に事業の売上であれば事業者本人の収入として申告する必要があります。申告から漏れていた場合は、調査の通知を受ける前に自主的に修正申告をすると、加算税の負担を抑えられます。加算税については追徴課税の記事をご覧ください。

Q. 口座にマイナンバーを付番すると、税務署に残高が自動で伝わりますか?

A. デジタル庁の案内では、マイナンバーの届出をきっかけに金融機関が行政機関などに残高などを知らせることはないとされています。ただし、税務調査で必要があるときは、付番の有無にかかわらず、税務署が金融機関に照会することがあります。

まとめ

税務調査では、事業用口座の通帳は確認されるのが基本です。個人名義や家族名義の口座でも、事業のお金が入っている可能性があれば確認の対象になりえます。また、税務署は必要に応じて金融機関に直接照会することもできます。

いちばんの備えは、事業用と生活用の口座をきちんと分け、お金の流れを説明できるようにしておくことです。通帳の確認の範囲や、家族名義の口座の扱いに不安がある方は、調査の前にご相談ください。元国税調査官のスタッフと税理士が一緒に確認し、当日の立会いまでサポートします。税務調査のご相談はこちら

ご注意

本記事は2026年10月12日時点の法令・情報にもとづいて作成しています。税制は改正されることが多いため、お読みいただく時期によっては内容が変わっている場合があります。また、記事は一般的な情報をわかりやすくお伝えするためのもので、実際の取り扱いはお一人おひとりのご事情によって異なることがあります。内容には十分に注意しておりますが、本記事をもとにしたご判断の結果については責任を負いかねますので、あらかじめご了承ください。個別のご相談は、どうぞお気軽に当事務所へお問い合わせください。

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