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【倒産防止共済・小規模企業共済・iDeCo・中退共】共済で節税するしくみを比較|効果・別表の添付・解約時の税金の注意点

公開 2026.10.13

共済で節税するしくみを比較

「倒産防止共済に入ると節税になる」「小規模企業共済やiDeCoもいいらしい」と聞いても、名前が似ていて違いがよくわからない、という声をよくいただきます。どれも掛金が経費や所得控除になる制度ですが、だれが入れるか、税金がどう減るか、受け取るときにどう課税されるかがそれぞれ違います。

この記事では、よく比べられる4つの制度、倒産防止共済(経営セーフティ共済)・小規模企業共済・iDeCo(個人型確定拠出年金)・中退共(中小企業退職金共済)について、節税効果と注意点を、中小機構・厚生労働省などの公表資料をもとに整理します。

「中小企業倒産防止共済」と「経営セーフティ共済」は同じ制度です。正式な名前が中小企業倒産防止共済で、経営セーフティ共済は運営する中小機構がつけた愛称です。「倒産防止共済」と略して呼ばれることも多く、この記事では「倒産防止共済(経営セーフティ共済)」と書いています。

まずは4つの制度をひと目で比べる

比べる点倒産防止共済(経営セーフティ共済)小規模企業共済iDeCo中退共
何のための制度か取引先が倒産したときの資金の借入れに備える経営者自身の退職金・廃業に備える自分の老後の年金を積み立てる従業員の退職金を用意する
入れる人1年以上事業を続けている中小企業(法人・個人事業主)小規模な会社の役員・個人事業主など国民年金の加入者など(個人)中小企業(掛ける対象は従業員)
掛金月5,000円〜20万円(総額800万円まで)月1,000円〜7万円区分ごとに上限あり(下の表)従業員1人につき月5,000円〜3万円
掛金の税金の扱い法人は損金、個人事業主は必要経費個人の所得控除(会社の経費ではない)個人の所得控除法人は損金、個人事業主は必要経費
受け取るときの税金解約手当金は会社の益金(個人は事業所得の収入)退職所得・公的年金等の雑所得など退職所得・公的年金等の雑所得従業員の退職所得(会社には戻らない)
主な注意点40か月未満の解約は元本割れ。別表の添付。解約後2年以内の再加入は損金にならない20年未満の任意解約は元本割れ原則60歳まで引き出せない退職金は従業員本人に支払われる

大きく分けると、会社(事業)の経費になるものが経営セーフティ共済と中退共、経営者個人の所得控除になるものが小規模企業共済とiDeCoです。会社の利益を減らしたいのか、経営者個人の所得税・住民税を減らしたいのかで、選ぶ制度が変わります。

倒産防止共済(経営セーフティ共済)

どんな制度か

倒産防止共済(正式名称:中小企業倒産防止共済、愛称:経営セーフティ共済)は、取引先が倒産して売掛金などが回収できなくなったときに、無担保・無保証人・無利子で資金を借りられる国の共済制度です(運営は独立行政法人 中小企業基盤整備機構)。借りられる額は、回収できなくなった売掛金等の額と掛金総額の10倍のうち少ないほうで、最高8,000万円です。なお、借入れを受けると、借入額の10分の1に相当する額が掛金総額から差し引かれます。

  • 入れる人:1年以上継続して事業を行っている中小企業者(法人・個人事業主)
  • 掛金:月額5,000円〜20万円の範囲で、5,000円単位で選べます
  • 積立の上限:掛金総額800万円まで

節税効果:掛金が全額経費になる

掛金は、法人なら損金、個人事業主なら事業所得の必要経費にできます。たとえば法人が月20万円を1年間掛けると、240万円が損金になり、その分の利益が減ります。法人税・住民税・事業税の合計の税率が約30%なら、その年の税金は約70万円少なくなる計算です。

ただし、これは税金の「先送り」です。解約して受け取る解約手当金は、受け取った年の会社の益金(個人事業主は事業所得の収入)になります。解約手当金を受け取る年に、役員退職金の支払いや大きな修繕などの費用を重ねて、課税される所得を平らにするのが、上手な使い方です。

損金にするための手続き:別表十(七)と適用額明細書

法人が掛金を損金にするには、法人税の確定申告書に別表十(七)「特定の基金に対する負担金等の損金算入に関する明細書」を付け、あわせて適用額明細書にも記載して提出します。掛金を費用として処理した場合も、資産として計上して申告書で減算する場合も、どちらも添付が必要です。個人事業主の場合も、所得税の確定申告書に、掛金を必要経費にするための明細書を付けます。

添付を忘れると、掛金を損金にできないおそれがあります。会計ソフトで「支払保険料」などの科目にしただけでは、申告書の手続きは終わっていないので注意しましょう。

前納と引落日に注意

  • 1年以内の前納:前納した掛金(前納の期間が1年以内のもの)は、支払った年・事業年度の損金(必要経費)にできます
  • 引落日:決算の直前に加入や増額をしても、実際の引落しが決算日の翌日以後なら、原則として翌期の損金になります。加入のときだけは、中小機構の指定口座への振込みでの前納もできます
  • 月払いの増減:掛金は加入後に増額・減額できますが、減額には一定の条件があります

解約したときの受取額(解約手当金)

自分の意思で解約した場合(任意解約)の解約手当金は、掛金を納めた月数によって次のようになります。12か月未満は掛け捨て、40か月以上で掛金の100%が戻ります。

掛金を納めた月数任意解約で戻る割合
1〜11か月0%(掛け捨て)
12〜23か月80%
24〜29か月85%
30〜35か月90%
36〜39か月95%
40か月以上100%

2024年10月からの改正:解約後2年以内の再加入は損金にならない

2024年(令和6年)10月1日以後に解約して再び加入した場合、解約の日から2年を経過する日までに支払った掛金は、損金・必要経費にできません。解約と再加入をくり返して節税する使い方を抑えるための改正です。再加入そのものはできますが、税金の面では2年間メリットがなくなるので、解約のタイミングはよく考えて決めましょう。

小規模企業共済

小規模企業共済は、個人事業主や小規模な会社の役員のための「退職金制度」です。掛金は月1,000円〜7万円(500円単位)で、全額が個人の所得控除(小規模企業共済等掛金控除)になります。年間の上限は84万円です。

  • 入れる人:常時使用する従業員が20人以下(商業・宿泊業と娯楽業以外のサービス業は5人以下)の個人事業主や会社の役員など。会社の役員は、役員として登記されていることが必要です
  • 会社の経費ではない:会社の役員が入る場合、掛金は役員個人が払い、役員個人の所得税・住民税が減ります。会社の損金にはなりません
  • 受け取るとき:廃業や役員退任で受け取る共済金は、一括なら退職所得、分割なら公的年金等の雑所得として扱われ、税金の面でも有利です
20年未満で任意解約すると、受け取る額が掛金の合計を下回ります(元本割れ)。12か月未満で解約すると掛け捨てです。また、65歳未満で任意解約した場合の解約手当金は一時所得になります。「いざというときに解約すればいい」ではなく、長く続けられる掛金にすることが大切です。

iDeCo(個人型確定拠出年金)

iDeCoは、自分で掛金を出して運用し、老後に年金として受け取る私的年金です。掛金は全額が個人の所得控除になり、運用で増えた分にも税金がかかりません。受け取るときは、一括なら退職所得、年金なら公的年金等の雑所得として扱われます。

加入者の区分現在の上限(月額)改正後の上限(月額)
自営業者など(第1号)6.8万円(国民年金基金・付加保険料と合計)7.5万円
会社員・会社の役員(第2号)2.3万円など(企業年金の有無で異なる)企業年金と合計で6.2万円

2025年の年金制度改正により、上の表のとおり掛金の上限が引き上げられ、加入できる年齢も70歳未満まで広がります。2026年12月分の掛金(2027年1月の引落し)から適用される予定です。最新の取扱いは、厚生労働省や加入している金融機関の案内で確認してください。

  • 原則60歳まで引き出せない:急に資金が必要になっても使えないお金になります
  • 手数料がかかる:口座管理の手数料などが毎月かかります
  • 小規模企業共済と一緒に入れる:個人事業主や役員は、両方を使って所得控除を増やすこともできます

中退共(中小企業退職金共済)

中退共は、中小企業が従業員のために退職金を積み立てる国の制度です。掛金は従業員1人につき月5,000円〜3万円で、法人は全額損金、個人事業主は全額必要経費になり、従業員の給与にもなりません。新しく加入した会社には、掛金月額の2分の1(従業員1人あたり上限5,000円)を、加入後4か月目から1年間、国が助成します。

中退共は、事業主や会社の役員は原則として加入できません(使用人兼務役員など一部の例外を除く)。また、退職金は中退共から従業員に直接支払われ、会社には戻りません。経営者自身の節税や会社のお金を貯める目的ではなく、従業員の福利厚生として使う制度です。

目的別の使い分け

  • 会社の利益が多く、数年後に役員退職金や大きな出費の予定がある → 経営セーフティ共済で利益を先送りしながら資金を貯める
  • 経営者個人の所得税・住民税を減らしたい → 小規模企業共済、iDeCo
  • 従業員の退職金制度を整えたい → 中退共
  • 手元の資金に余裕がない → 無理に入らない。掛金は簡単に引き出せないお金になります

共済で節税するときの注意点まとめ

  • 税金がなくなるのではなく、先送りになるものが多い:経営セーフティ共済の解約手当金は益金になります。受け取る年の利益を見ながら解約の時期を決めましょう
  • 別表の添付を忘れない:経営セーフティ共済の掛金は、別表十(七)と適用額明細書の添付が必要です
  • 引落日は決算日までに:決算直前の加入・増額は、引落しが翌期になると今期の損金になりません
  • 解約後2年以内の再加入は損金にならない:2024年10月1日以後の解約が対象です
  • 元本割れの期間がある:経営セーフティ共済は40か月未満、小規模企業共済は20年未満の任意解約で元本割れします
  • 資金繰りを優先する:節税のために掛金を増やして、手元資金が足りなくなっては本末転倒です

よくある質問

Q. 経営セーフティ共済と小規模企業共済は、両方に入れますか?

A. 入れます。経営セーフティ共済は会社(事業)の掛金、小規模企業共済は経営者個人の掛金なので、目的も税金の扱いも別々です。会社の損金と個人の所得控除の両方を使えます。

Q. 会社の役員が入る小規模企業共済の掛金を、会社が払ってもいいですか?

A. 小規模企業共済は役員個人の制度なので、掛金は役員個人が払い、個人の確定申告や年末調整で所得控除を受けるのが基本です。会社の経費にして節税する制度ではありません。

Q. 経営セーフティ共済の掛金を、決算の直前にまとめて払えますか?

A. 1年以内の前納であれば、支払った事業年度の損金にできます。ただし、口座からの引落しが決算日の翌日以後になると、原則として翌期の損金になります。加入時は中小機構の指定口座への振込みで前納することもできるので、時期に余裕をもって手続きしましょう。

Q. 経営セーフティ共済を解約すると、どのくらい税金がかかりますか?

A. 解約手当金は、受け取った事業年度の益金(個人事業主は事業所得の収入)になり、その年の利益に足されて課税されます。赤字の年や役員退職金を支払う年に解約すると、税金の負担を小さくできます。解約の前に、その年の利益の見込みを確認することをおすすめします。

まとめ

経営セーフティ共済と中退共は会社(事業)の経費になる制度、小規模企業共済とiDeCoは経営者個人の所得控除になる制度です。経営セーフティ共済は節税効果が大きい一方、解約時の益金への課税、別表十(七)の添付、40か月未満の元本割れ、解約後2年以内の再加入の制限など、知っておきたい注意点があります。

どの制度にいくら掛けるのがよいかは、会社の利益の見込み、役員報酬、資金繰り、将来の役員退職金の予定によって変わります。当事務所では、決算前の利益の見込みとあわせて、共済や役員報酬を組み合わせた節税のご相談を承っています。初回相談は無料です。お気軽にご相談ください。

個人の税金をふるさと納税でも減らしたい方は、ふるさと納税シミュレーション(2026年版)で今年の上限額を計算できます。個人事業主の方の早見表もあります。

ご注意

本記事は2026年10月13日時点の法令・情報にもとづいて作成しています。税制は改正されることが多いため、お読みいただく時期によっては内容が変わっている場合があります。また、記事は一般的な情報をわかりやすくお伝えするためのもので、実際の取り扱いはお一人おひとりのご事情によって異なることがあります。内容には十分に注意しておりますが、本記事をもとにしたご判断の結果については責任を負いかねますので、あらかじめご了承ください。個別のご相談は、どうぞお気軽に当事務所へお問い合わせください。

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