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【決算の議事録】株主総会議事録はいつ・何を書く?一人社長の会社・役員報酬・役員賞与との関係と、ないとどうなるか(2026年版)

公開 2026.10.28

決算の議事録 いつ・何を書く?一人社長の会社・役員報酬・役員賞与

「決算のときに議事録って作らないといけないの?」「社長1人の会社だから、議事録なんて作ったことがない」というご相談をよくいただきます。

結論からいうと、株式会社は決算のたびに株主総会を開き(または書面で決議し)、議事録を残すことが会社法で決められています。一方で、議事録がないこと自体を理由に税務署から税金を追加で取られることは通常ありません。ただし、役員報酬や役員賞与を経費にするときの「いつ・いくらに決めたか」の証拠になるので、作っておかないと税務調査で困ることがあります。この記事では、2026年10月時点の法令にもとづいて、決算の議事録で押さえておきたいことを整理します。

決算のときに作る議事録とは

株式会社は、事業年度が終わるたびに定時株主総会を開き(会社法296条)、決算書(計算書類)の承認を受けます(会社法438条)。株主総会で決めたことは、株主総会議事録に残さなければなりません(会社法318条)。

決算の株主総会(定時株主総会)でよく決めることは、次のとおりです。

  • 決算書(計算書類)の承認:毎年必ず決めます。
  • 役員報酬の額:定款に定めがなければ株主総会で決めます(会社法361条)。実務では「取締役全員の報酬の総額は年○円以内」と上限を決め、一人ひとりの金額は取締役に任せる形が多いです。
  • 役員賞与:賞与を出すなら、誰に・いつ・いくら払うかを決めます(後で詳しく説明します)。
  • 役員の選任:任期が満了する年は、取締役などを選び直します(再任でも登記が必要です)。
  • 配当:株主に配当するときは、配当の額などを決めます。

取締役会を置いている会社は、株主総会の前に取締役会で決算書を承認し、総会を招集するので、取締役会議事録も必要です(会社法369条)。なお、合同会社には株主総会がなく、会社法上の議事録の作成義務もありません。ただ、役員報酬などを決めたことの証拠として、社員の同意書や決定書を残しておくと安心です。

一人社長の会社は作っていないことが多い?

社長が株主も兼ねている「一人社長の会社」では、議事録を作っていないことがよくあります。株主総会といっても、集まる人が社長1人しかいないからです。

ただ、株主が1人の会社でも、議事録の作成義務は同じです。そのかわり、手続きはとても簡単です。

  • 招集の手続きはいりません:株主が1人の会社では、その株主が出席すれば招集の手続きがなくても株主総会は成立すると考えられています(最高裁昭和46年6月24日判決)。
  • 社長が決めた時点で「株主総会の決議」になります:決算書を承認する、役員報酬を決める、と社長が決めれば、それが株主総会の決議です。
  • 議事録はA4で1枚:日時・場所・出席者・決めたことを書けば足ります。
おすすめは「決算のたびに、社長が1枚作って保管する」ことです。 決算書ができたら、決算の承認と、翌期の役員報酬(変える場合)をまとめて1枚の議事録にしておけば、税務調査や金融機関から聞かれたときにすぐ出せます。

議事録がないと税務署にとがめられる?

議事録を作っていなかったとしても、それだけで税務署から税金を追加で取られることは、通常ありません。法人税の申告に議事録を添付する必要はなく、税務署が会社法の義務違反を取り締まる立場でもないからです。

ただし、次の点には注意が必要です。

  • 申告は「株主総会で承認された決算」にもとづくのが前提:法人税の申告書は、確定した決算(株主総会の承認を受けた決算)にもとづいて作ります(法人税法74条)。議事録は、その承認があったことを示す書類です。
  • 税務調査では議事録を見せるよう求められることが多い:特に役員報酬を変えたときや役員賞与を出したときは、「いつ・いくらに決めたか」を議事録で確認されます。証拠がないと、会社の説明が認められず、役員報酬や役員賞与の一部が経費にならないおそれがあります。
  • 会社法では過料の対象:議事録を作らない・本店に備え置かないといった義務違反は、100万円以下の過料の対象になります(会社法976条)。実際に過料を科される例は多くありませんが、義務であることに変わりはありません。
  • 税務署以外でも求められる:金融機関の融資、役員の変更登記、事業承継や株主どうしのトラブルのときにも、議事録が必要になることがあります。
まとめると、「議事録がないこと」そのものは税務署にとがめられないが、議事録がないと会社の主張を証明しにくくなる、ということです。

議事録を作るタイミング

3月決算の会社を例に、決算から議事録までの流れを整理します。

時期(3月決算の例)やること
3月31日決算日
4月〜5月中旬決算書を作る
5月31日まで (申告期限)定時株主総会で決算書を承認 → 議事録を作る 法人税・消費税の申告と納付
6月30日まで (期首から3か月以内)役員報酬を変えるなら、この日までに決める(決算の総会でまとめて決めるのが一般的)
総会から1か月以内 (遅くても7月31日まで)役員賞与を出すなら、事前確定届出給与の届出書を税務署に出す

法人税の申告期限は、原則として決算日の翌日から2か月以内です。定款で「定時株主総会は決算日から3か月以内に開く」と決めているなど、総会が申告期限までに開けない会社は、申告期限の延長の特例(法人税法75条の2)を受けると、申告期限を1か月延ばせます(延長した期間の利子税はかかります)。

議事録は、総会の当日か、遅くとも数日以内に作るのが基本です。時間がたつほど「何を決めたか」があいまいになるので、決算書ができたタイミングで、議事録もセットで作ってしまいましょう。

議事録に書くこと・保管のしかた

議事録に書くこと

株主総会議事録に書くことは、会社法施行規則72条で決まっています。中小企業の定時株主総会なら、次の項目があれば足ります。

  • 開催した日時と場所(オンラインで開いた場合はその方法)
  • 議事の経過と結果(何を議題にし、どう決まったか)
  • 出席した役員の氏名
  • 議長の氏名(議長がいる場合)
  • 議事録を作った取締役の氏名

あわせて、議決権のある株主の数・出席した株主の数を書いておくのが一般的です。株主総会議事録への署名や押印は会社法上の義務ではありませんが、誰が作ったかをはっきりさせるため、代表取締役が記名押印しておくのがおすすめです(取締役会議事録は、出席した取締役・監査役の署名または記名押印が必要です)。

保管のしかた

  • 本店に10年間備え置きます(会社法318条)。支店がある会社は、写しを支店に5年間。
  • 紙でもデータ(PDFなど)でもかまいません。
  • 決算書・申告書の控えと同じフォルダにまとめて保管しておくと、税務調査のときに探さずにすみます。

役員報酬・役員賞与と議事録

役員報酬(毎月の給与)

役員報酬を経費にするには、原則として毎月同じ額で支払う必要があります(定期同額給与)。金額を変えられるのは、原則として期首から3か月以内に決めた場合だけです。

このため、議事録には「いつ」「誰の報酬を」「いくらに」「何月分から」変えたかをはっきり書いておきます。決算の定時株主総会でまとめて決めるのが一般的です。役員報酬の金額の決め方は「役員報酬はいくらにする?」で詳しく解説しています。

役員賞与(事前確定届出給与)

役員賞与を経費にするには、事前確定届出給与として、事前に税務署へ届け出る必要があります。流れは次のとおりです。

  • ① 株主総会で決める:誰に・いつ・いくら払うかを決議し、議事録に残します。
  • ② 期限までに税務署へ届け出る:株主総会で決めた日(職務の執行を始める日がそれより後なら、その日)から1か月を経過する日と、期首から4か月を経過する日の、いずれか早い日までに届け出ます。新しく設立した会社は、設立の日から2か月を経過する日までです。
  • ③ 届け出たとおりに払う:届け出た日に、届け出た金額を払います。

届け出た金額や支給日と違う払い方をすると、その賞与は原則として全額が経費になりません(多く払った場合も、少なく払った場合も同じです)。

役員賞与を出すなら、議事録は必ず作りましょう。 届出の期限は「株主総会で決めた日」から数えるので、議事録の日付がそのまま期限の根拠になります。届出書に議事録を添付する必要はありませんが、税務調査ではほぼ確実に確認されます。

役員賞与の届出期限や注意点は「役員賞与を経費にするには?」で詳しく解説しています。

作り忘れていたときはどうする?

「株主総会で決めたけれど、議事録を作っていなかった」という場合は、あとから議事録を作ってかまいません。大事なのは、実際に決めた(決議した)事実があることです。

内容
OK実際に決めた内容を、あとから議事録に書き起こす(日付は実際に決めた日を書く) 一人社長の会社で、社長が決めた内容をあとから議事録にまとめる
NG決めていないことを、決めたことにする 日付をさかのぼって、期限内に決めたことにする(例:期首から3か月を過ぎて役員報酬の増額を決めたのに、3か月以内に決めたことにする)

事実と違う議事録は、税務調査で通帳の動きや給与の記録と照らし合わせると、すぐに分かります。事実を隠したり偽ったりしたと判断されると、重加算税の対象になることもあるので、絶対にやめましょう。

また、役員賞与の場合は、議事録をあとから作れても、税務署への届出は期限内にしていることが前提です。届出を忘れていた賞与は、議事録があっても経費になりません。

総会を開かずに決める方法(書面決議)

株主が家族など複数いて、集まるのが難しい場合は、書面決議(みなし決議)が使えます(会社法319条)。

  • 取締役が議題(例:決算書の承認、役員報酬の額)を株主に提案します。
  • 株主全員が書面かメールなどで同意すると、その内容で株主総会の決議があったものとみなされます。
  • 株主総会を実際に開く必要はありません。

書面決議でも、議事録は必要です。議事録には、決議があったとみなされた事項、提案した取締役の氏名、決議があったとみなされた日などを書きます(会社法施行規則72条4項)。株主の同意書は、本店に10年間保管します。

株主が1人の会社は、前の章のとおり社長が出席すれば総会が成立するので、通常の議事録で問題ありません。

新宿パートナーズにご依頼いただく場合

議事録は会社が作る書類ですが、弊所では顧問先の決算にあわせて、次のようなサポートをしています。

  • 議事録のひな形のご提供と書き方のアドバイス(一人社長の会社用・役員賞与を決めるとき用・書面決議用など)
  • 役員報酬・役員賞与の金額の決め方のご相談(手取りや社会保険料も含めて試算します)
  • 事前確定届出給与の届出書の作成・提出

登記が必要な役員の変更などは、司法書士へのご依頼が必要です。まずはお問い合わせ・無料相談からお気軽にご相談ください。料金プランは料金プラン・シミュレーションでもご確認いただけます。

まとめ

  • 株式会社は、決算のたびに定時株主総会で決算書を承認し、議事録を残す(一人社長の会社も同じ)。
  • 議事録がないこと自体で税金が増えることは通常ないが、役員報酬・役員賞与の証拠になるので作っておく。
  • 作るタイミングは決算書ができて総会を開いたとき。役員報酬は期首から3か月以内に決める。
  • 役員賞与を出すなら議事録は必須。決めた日から1か月以内(期首から4か月以内)に届け出て、届出どおりに払う。
  • 作り忘れていたらあとから作ってOK。ただし、決めていないことを決めたことにする・日付をさかのぼるのはNG。
  • 株主が複数で集まれないときは書面決議も使える(その場合も議事録は必要)。

ご注意

本記事は2026年10月28日時点の法令・情報にもとづいて作成しています。税制や会社法は改正されることが多いため、お読みいただく時期によっては内容が変わっている場合があります。また、記事は一般的な情報をわかりやすくお伝えするためのもので、実際の取り扱いはお一人おひとり・各社のご事情によって異なることがあります。内容には十分に注意しておりますが、本記事をもとにしたご判断の結果については責任を負いかねますので、あらかじめご了承ください。実際のお手続きにあたっては、税理士または税務署にご確認ください(登記については司法書士・法務局にご確認ください)。個別のご相談は、どうぞお気軽に当事務所へお問い合わせください。

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