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【税務調査を税理士なしで受けると?】自分で対応するときの流れ・注意点・限界をやさしく解説
公開 2026.10.12

「顧問税理士がいないけれど、税務調査の連絡が来た」「一人で事業をしているので、自分で対応するしかないのでは」。そんな不安を抱えている個人事業主の方は少なくありません。
この記事では、税理士なしで税務調査を受けるとどうなるのかを、税理士法と国税庁の「税務調査手続に関するFAQ」をもとに説明します。家族や知人に代わりに立ち会ってもらえるのか、自分で対応するときの流れと準備、当日の受け答えのコツ、修正申告を勧められたときの考え方、そして途中から税理士に頼む方法まで、順番に見ていきましょう。
税理士なしでも税務調査は受けられる
まず安心していただきたいのは、税理士がいなくても税務調査を受けることはできるということです。税理士の立会いは義務ではなく、税務署も納税者本人と連絡を取り、調査を進めます。実際に、税理士をつけずに調査を受ける個人事業主の方もいます。
ただし、税理士がいない場合は、日程の調整、資料の準備、調査官への説明、結果についての判断まで、すべて自分で行うことになります。どこに注意すればよいかを知っておくことが大切です。
家族・知人・コンサルは「代理人」として立ち会えない
「税金にくわしい知人に代わりに出てもらおう」「経理を手伝ってくれている家族に説明してもらおう」と考える方もいるかもしれません。しかし、ここには法律上の決まりがあります。
代わりに主張・説明するのは「税務代理」
税理士法では、税務署の調査に関して、納税者の代わりに主張や陳述(説明)をすることを「税務代理」と定めています(税理士法2条)。そして、税理士や税理士法人でない人は、原則として税理士業務を行ってはならないとされています(税理士法52条)。違反した場合は、2年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金の対象になります(税理士法59条)。
国税庁の説明では、ここでいう「業とする」は、くり返し行う(または、くり返し行うつもりで行う)ことをいい、有償かどうかは問わないとされています。「無料だから大丈夫」というわけではありません。
例外として、弁護士は所属の弁護士会を通じて国税局長に通知することで、税理士業務を行うことができます(税理士法51条)。税理士やこうした例外にあたらないコンサルタントなどに、税務調査の代理を頼むことはできません。
国税庁FAQの考え方
国税庁の「税務調査手続に関するFAQ(一般納税者向け)」問33では、次のように説明されています。
- 調査に立ち会って、納税者の代わりに主張・陳述をすることは税務代理行為にあたり、原則として税務代理人しかできない
- ただ同席するだけでも、調査担当者の守秘義務にふれるおそれがある場合は、税務代理人以外の第三者の立会いは断っている
- ふだん記帳を担当している人(記帳補助者)は、調査を円滑に進めるため、調査担当者が必要と認めた範囲で同席できることがある
つまり、経理を手伝っている家族が、帳簿の付け方について説明するために同席できる場合はありますが、あなたの代わりに税務署と交渉する立場にはなれないということです。
自分で対応するときの流れ
税理士なしで調査を受ける場合の、おおまかな流れは次のとおりです。各段階のくわしい内容は税務調査の流れと期間もご覧ください。
| 段階 | 自分でやること |
|---|---|
| 事前通知 | 電話などで調査の連絡を受け、日時・場所・税目・対象年分・調査の目的をメモする |
| 日程調整 | 都合が悪ければ変更を相談する(口頭で申し出てよい:FAQ問16・17) |
| 事前準備 | 申告書の控え、帳簿、請求書・領収書、通帳などを年ごとにそろえ、自分の申告を見直す |
| 調査当日 | 事業の内容の聞き取りに答え、帳簿や書類を見せる |
| 追加の対応 | 求められた資料を期限までに出し、質問に回答する |
| 結果の説明 | 誤りがあれば、内容と金額の説明を受ける。誤りがなければ、その旨の通知を受ける |
| 修正申告/更正 | 修正申告をするか、更正(税務署による税額の訂正)を受けるかを判断する |
自分で対応するときの事前準備
税理士がいない場合、準備はすべて自分で行うことになります。次の点を意識しておきましょう。
- 対象の年分の資料をそろえる:申告書の控え、帳簿(会計ソフトのデータ)、請求書・領収書、事業用の通帳、契約書など
- 自分の申告を見直す:売上の計上もれがないか、私的な支出を経費にしていないか、家事按分(自宅と事業の割合)の根拠を説明できるか
- 説明が必要そうな点をメモする:大きな金額の取引、毎年と違う動き、現金の出し入れなど
- 事業の概要を整理する:いつ始めたか、どんな仕事か、主な取引先、売上の入り方、経費の払い方
資料は捨てない・作り直さないでください。後から作った書類や書き換えた帳簿は、事実を隠したと受け取られるおそれがあります。見直しの途中で誤りに気づいた場合は、どう対応するかを税理士に相談することをおすすめします。
当日の受け答えのコツ
聞かれたことに、事実を簡潔に答える
調査官の質問には、事実をそのまま、簡潔に答えるのが基本です。聞かれていないことまで推測で話したり、あいまいな記憶で断定したりすると、後で説明が食い違う原因になります。
わからないことは「確認してから答えます」でよい
その場で思い出せないことや、資料を見ないと答えられないことは、無理に答えず「確認して後日お答えします」と伝えてかまいません。いい加減な回答をするより、正確に答えることのほうが大切です。
メモを取る
何を聞かれ、何を答えたか、どの資料を求められ、いつまでに出すかをメモしておきましょう。調査は複数日にわたることもあるため、記録があると後の対応がぐっと楽になります。
資料の提示・提出は拒まない
正当な理由なく帳簿書類の提示・提出を拒んだり、うその記載をした書類を出したりすると、1年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金の対象になることがあります(国税通則法128条、FAQ問3)。一方、書類を税務署に預ける(留置き)ことについては、必要性の説明を受けたうえで納税者の承諾を得て行うものとされ、承諾なしに強制的に預かられることはありません(FAQ問10)。預けた書類は、何を預けたか控えておきましょう。
調査そのものを断れるかどうかについては、任意調査と強制調査の違いで説明しています。
修正申告を勧められたときの判断
調査の結果、誤りが見つかると、調査官から内容と金額の説明があり、原則として修正申告を勧められます(FAQ問25)。ここは、税理士なしで対応するときにいちばん迷いやすい場面です。
修正申告に応じるかは任意
国税庁のFAQでは、修正申告の勧めに応じるかどうかは納税者の任意の判断とされています。応じない場合は、税務署が調査結果にもとづいて更正(税額の訂正)を行います。応じなかったからといって、応じた場合と比べて不利な取扱いを受けることは基本的にないとされています(FAQ問25)。
修正申告と更正の違い
| 項目 | 修正申告をした場合 | 更正を受けた場合 |
|---|---|---|
| だれが税額を直すか | 納税者が自分で直す | 税務署長が処分として直す |
| 後から争う方法 | 不服申立てはできない。一定期間内なら更正の請求ができる(FAQ問26) | 処分を知った日の翌日から原則3か月以内に不服申立てができる(国税通則法77条) |
| 理由の説明 | — | 処分の理由が書面に記載される(FAQ問30) |
指摘の内容に納得できるなら修正申告、事実や法律の解釈に納得できない点があるなら、その点をはっきりさせてから判断する、というのが基本的な考え方です。指摘のうち、どの部分に納得できて、どの部分に納得できないのかを分けて整理するとよいでしょう。くわしくは修正申告を勧められたらで解説しています。
自分で対応することの限界
税理士なしでも調査は受けられますが、次のような場面では、自分だけで対応するのが難しくなります。
- 法律の解釈が分かれる指摘:外注費か給与か、家事按分の割合、売上を計上する時期など、根拠を示して説明する必要がある場合
- 修正申告書の作成:所得税だけでなく、消費税の修正や、住民税・事業税への影響まで考える必要がある
- 調査の範囲が広がった場合:通知された年分以外にも調査が及ぶことがあります(FAQ問32)
- 重加算税や無申告が問題になりそうな場合:追徴の金額が大きくなりやすく、判断を誤ると負担が重くなる
- 本業との両立:準備や追加資料の対応に時間をとられ、仕事に支障が出る
追徴される税金のしくみは税務調査の追徴課税はいくら?で説明しています。
途中からでも税理士に頼める
「最初は自分で対応しようと思ったけれど、やはり不安になった」という場合でも、調査の途中から税理士に依頼することができます。依頼を受けた税理士が税務代理権限証書を税務署に出せば(税理士法30条)、そこから税務代理人として、調査官への説明や意見の申し立てを行います。
また、納税者が同意すれば、調査結果の説明を税務代理人に対して行ってもらうこともできます(FAQ問27)。次のようなときは、早めに相談を検討してください。
- 調査官の指摘の意味や根拠がよくわからない
- 指摘された金額が大きく、納得できない点がある
- 修正申告を勧められたが、応じてよいか判断できない
- 調査の範囲が広がった、または何度も追加資料を求められている
当事務所では、顧問契約がなくても税務調査だけのスポット依頼をお受けしています。元国税調査官(国税OB)のスタッフが調査前のチェックを行い、立会い・税務署との折衝・修正申告は税理士が対応します。オンラインでの立会いにも対応しており、全国からご相談いただけます。費用については税務調査の税理士費用の記事もご覧ください。税務調査のご相談はこちら
よくある質問
Q. 一人で事業をしています。調査に一人で対応しても問題ありませんか?
A. 一人で対応すること自体は問題ありません。ただし、すべての説明と判断を自分で行うことになります。準備の段階で不安な点があれば、調査の前に税理士に相談しておくと安心です。
Q. 経理を担当している配偶者に同席してもらえますか?
A. ふだん記帳を担当している方は、調査担当者が必要と認めた範囲で同席できる場合があります(FAQ問33)。ただし、あなたの代わりに主張や説明をする「代理人」として立ち会うことはできません。
Q. その場で質問に答えられないと、不利になりますか?
A. 資料を確認しないと正確に答えられないことは、「確認して後日お答えします」と伝えてかまいません。あいまいな記憶で答えて後から訂正するより、確認してから正確に答えるほうが望ましいでしょう。
Q. 修正申告をした後で、間違いに気づいたらどうなりますか?
A. 修正申告をした後は不服申立てはできませんが、税額が多すぎたと考える場合は、原則として法定申告期限から5年以内であれば、更正の請求をすることができます(国税通則法23条、FAQ問26)。その際は、理由を証明する書類が必要です。
まとめ
税理士なしでも税務調査を受けることはできますが、家族・知人・コンサルなど税理士でない人は、代理人としてあなたの代わりに主張や説明をすることはできません。自分で対応するときは、資料をそろえて申告を見直し、当日は事実を簡潔に答え、わからないことは確認してから回答しましょう。修正申告に応じるかどうかは任意ですが、その後の争い方が変わるため、納得できる点とできない点を整理して判断することが大切です。
途中からでも税理士に頼むことはできます。少しでも不安を感じたら、一人で抱え込まずにお気軽にご相談ください。
ご注意
本記事は2026年10月12日時点の法令・情報にもとづいて作成しています。税制は改正されることが多いため、お読みいただく時期によっては内容が変わっている場合があります。また、記事は一般的な情報をわかりやすくお伝えするためのもので、実際の取り扱いはお一人おひとりのご事情によって異なることがあります。内容には十分に注意しておりますが、本記事をもとにしたご判断の結果については責任を負いかねますので、あらかじめご了承ください。個別のご相談は、どうぞお気軽に当事務所へお問い合わせください。
新宿パートナーズ税理士事務所


