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【2027年4月〜】飲食料品の消費税1%と簡易課税|計算の特例・届出の特例と、一般課税に切り替えるべき事業者
公開 2026.10.12

「飲食料品の消費税が1%になるらしい」「簡易課税だとどうなるの?」。2027年4月からの飲食料品の消費税率の引下げが話題になっています。とくに、スーパーや食品の小売、テイクアウト、飲食店など、飲食料品を扱う事業者にとっては、消費税の計算や届出に関わる大事な変更です。
この記事では、国税庁が公表したパンフレットとQ&Aをもとに、税率1%の対象と期間、簡易課税の計算の特例、簡易課税をやめる・課税事業者になる届出の特例、そして一般課税に切り替えたほうがよい事業者を整理します。
この記事は2026年10月12日時点の情報にもとづいています。税率の引下げは、2026年9月15日に閣議決定された大綱で示された改正案で、関連法案は2026年10月に国会に提出された段階です。法律が成立した場合の内容であり、国会の審議で変わることがあります。
飲食料品の消費税が1%になる期間と対象
改正案では、2027年(令和9年)4月1日から2029年(令和11年)3月31日までの2年間、飲食料品の販売などにかかる消費税率が、今の8%から1%(国0.78%・地方0.22%)に下がります。
| 区分 | 今 | 2027年4月〜2029年3月 |
|---|---|---|
| 飲食料品(酒類・外食を除く) | 8% | 1% |
| 新聞の定期購読 | 8% | 8%(変わらない) |
| 酒類・外食・その他 | 10% | 10%(変わらない) |
1%の対象になる飲食料品の範囲は、今の軽減税率(8%)の対象と同じです。テイクアウトや出前・宅配は1%、店内での飲食(外食)や、出張料理などのケータリングは10%のままです。2029年4月1日からは、飲食料品は8%に戻る予定です。
4月1日をまたぐ取引の注意点
2027年4月1日以後の販売でも、次の取引は8%のままとされています。
- 2027年1月1日より前に結んだ定期供給の契約(季節の食材が毎月届く定期便など)で、4月1日より前に代金を受け取っているもの
- 2027年1月1日より前に販売条件を示した通信販売(お中元のカタログなど)で、4月1日より前に申込みを受けたもの
いずれも、税率1%を前提にした契約や販売条件の場合は除かれます。
簡易課税の計算の特例|飲食料品の売上税額と同額を差し引く
簡易課税は、売上にかかる消費税額に、業種ごとの「みなし仕入率」(小売業80%など)をかけて、差し引く仕入税額を計算する方法です。
改正案では、飲食料品の販売を行う事業者が簡易課税で申告する場合、業種区分にかかわらず、飲食料品の販売(1%の対象)にかかる売上税額と同じ額を、仕入税額として差し引く特例が設けられます。つまり、1%の飲食料品の売上の部分は、納める消費税がゼロになる計算です。それ以外の売上(雑貨など)は、これまでどおりみなし仕入率で計算します。
国税庁の計算例は次のとおりです(税額は地方消費税を含みます)。
| 売上の内容 | 売上金額(税額) | 差し引く仕入税額 |
|---|---|---|
| 飲食料品の小売(1%) | 2,000万円(20万円) | 20万円(売上税額と同額) |
| 雑貨などの小売(第2種・80%) | 300万円(30万円) | 24万円(30万円×80%) |
| イートイン=外食(第4種・60%) | 100万円(10万円) | 6万円(10万円×60%) |
| 合計 | 売上税額 60万円 | 50万円 → 納付税額 10万円 |
- この特例は、2割特例・3割特例で申告する場合も同様とされています。
- 複数の業種がある場合の75%ルールの判定は、飲食料品の販売(1%の対象)を除いて行います。
簡易課税をやめる届出の特例と「2年縛り」
簡易課税では、仕入れや経費が多くても消費税の還付は受けられません。売上が1%になる一方、包装資材や備品、光熱費などの仕入れが10%のままの事業者は、一般課税(本則課税)で計算すると、差し引く仕入税額が売上税額を上回り、還付になる可能性があります。
本来、簡易課税をやめるには、やめたい課税期間が始まる前(個人事業者なら前の年の12月末まで)に「簡易課税制度選択不適用届出書」を出す必要があります。改正案では、飲食料品の販売を行う簡易課税の事業者は、2027年4月1日を含む課税期間の中で届出書を出せば、その課税期間から一般課税で申告できる特例が設けられます。
また、簡易課税を選んだ場合は2年間続けなければならない決まり(いわゆる2年縛り)がありますが、2027年4月1日を含む課税期間については、この2年縛りは適用しないとされています。
特例を使う場合は、届出書の「参考事項」欄に「飲食料品特例」と書いて提出します。
免税事業者が課税事業者になる届出の特例
免税事業者は、消費税を納めない代わりに、還付も受けられません。改正案では、飲食料品の販売を行う免税事業者が、2027年4月1日を含む課税期間の中で「課税事業者選択届出書」を出せば、その課税期間から課税事業者になれる特例も設けられます。
- 例:個人事業者が2027年中に届出をすると、2027年1月1日から課税事業者になります。1月〜3月の飲食料品の販売は8%で申告します。
- 課税事業者を選ぶと、原則として2年間(2027年と2028年)は課税事業者として申告が必要です。
- 別の方法として、インボイス発行事業者の登録をすれば、登録の日(例:2027年4月1日)から課税事業者になる経過措置もあります。この場合はインボイスを交付する義務などが生じます。
一般課税に切り替えたほうがよいのはどんな事業者?
税率の引下げで有利・不利が変わるのは、売上と仕入れの税率の組み合わせです。目安として、次のように考えられます。
| 事業のタイプ | 売上の税率 | 仕入れの主な税率 | 考えたいこと |
|---|---|---|---|
| 食品スーパー・食品の小売・テイクアウト | 1% | 1%(食材)+10%(資材・備品・光熱費など) | 一般課税なら還付になる可能性。簡易課税をやめる特例や、免税事業者なら課税事業者を選ぶ特例の検討 |
| 飲食店(店内飲食が中心) | 10% | 1%(食材)+10% | 一般課税だと食材の仕入税額が減り、納税額が増える可能性。簡易課税の事業者は影響が小さい |
| 食品と雑貨などを両方売る小売 | 1%+10% | いろいろ | 簡易課税の特例で、飲食料品の部分の納税がゼロに。一般課税との比較が必要 |
一般課税と簡易課税のどちらが有利かは、実際の仕入れの内容や設備投資の予定で大きく変わります。また、課税事業者を選んだり簡易課税をやめたりすると、2年間などの縛りや、インボイスの交付義務がかかることもあります。届出の前に、2年分の見込みで試算することをおすすめします。
そのほかの特例(中間申告・価格表示・インボイス)
中間申告の特例
中間申告は前の年の税額をもとに計算するため、税率が下がると納めすぎになることがあります。改正案では、2027年4月1日以後に始まる中間申告の期間について、前の課税期間の飲食料品の売上・仕入れに1%が適用されたものとして計算した税額で、仮決算による中間申告ができる特例が設けられます。引下げが終わるとき(2029年4月以降)にも、同じような特例があります。
価格表示(総額表示)の特例
値札の貼り替えなどがすぐに間に合わない事情がある場合、2027年2月1日から5月31日までは、実際の支払額と誤認させない掲示などを条件に、飲食料品について8%または1%での総額表示が認められます(新旧の税率が混在する表示も可)。引下げの終了時(2029年2月1日から5月31日)も同様です。
インボイスの記載
インボイスには、適用税率1%とその消費税額を記載します。それ以外の記載事項は変わらず、「軽減税率の対象品目である旨」に代えて「1%の対象品目である旨」を新たに書く必要はないとされています。
よくある質問
Q. 簡易課税のままでも、飲食料品の分の消費税は本当にゼロになりますか?
A. 改正案では、飲食料品の販売(1%の対象)にかかる売上税額と同じ額を仕入税額として差し引くため、その部分の納付税額はゼロになる計算です。雑貨や外食など、ほかの売上の分は、これまでどおりみなし仕入率で計算します。
Q. 飲食店のイートインとテイクアウトはどうなりますか?
A. 店内での飲食は外食として10%、テイクアウトや出前は飲食料品の販売として1%です。どちらにあたるかは、提供するときにお客さまの意思を確認するなどして判定します。
Q. 今すぐ届出をしたほうがいいですか?
A. 改正案の特例は、2027年4月1日を含む課税期間の中で届出をすればよいとされています。また、まだ法律が成立していないため、成立後の内容を確認してから判断するのが安全です。ただし、試算には時間がかかるので、早めに準備しておくと安心です。
まとめ
2027年4月からの2年間、飲食料品の消費税率を1%に下げる改正案では、簡易課税の計算の特例(飲食料品の売上税額と同額を差し引く)や、簡易課税をやめる・課税事業者になる届出の特例などが用意されています。食品の小売では一般課税で還付になる可能性がある一方、店内飲食が中心の飲食店では一般課税だと納税が増えることもあり、事業の形によって最適な選び方が変わります。
どの方式が有利か、届出が必要かは、仕入れの内容や今後の予定で試算してみるのがいちばんです。当事務所では、顧問先の方はチャットで、顧問契約のない方もスポットでご相談いただけます。お気軽にご相談ください
ご注意
本記事は2026年10月12日時点の法令・情報にもとづいて作成しています。税制は改正されることが多いため、お読みいただく時期によっては内容が変わっている場合があります。また、記事は一般的な情報をわかりやすくお伝えするためのもので、実際の取り扱いはお一人おひとりのご事情によって異なることがあります。内容には十分に注意しておりますが、本記事をもとにしたご判断の結果については責任を負いかねますので、あらかじめご了承ください。個別のご相談は、どうぞお気軽に当事務所へお問い合わせください。
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