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【税務調査で修正申告を勧められたら】拒否できる?更正との違いと不服申立ての流れ・期限
公開 2026.10.12

税務調査の最後に、調査官から「この部分は申告が少なかったので、修正申告をお願いします」と言われることがあります。「言われたとおりにするしかないの?」「納得できない部分があるけれど、断ったらどうなるの?」と迷う方は少なくありません。
この記事では、修正申告の勧め(勧奨)に応じる場合と応じない場合の違い、税務署の処分に納得できないときの不服申立て(再調査の請求・審査請求)の流れと期限、修正申告のあとで誤りに気づいたときの更正の請求、そして納付が難しいときの相談先まで、国税通則法と国税庁の資料をもとに順番に説明します。
修正申告の「勧奨」とは?応じる義務はある?
調査の結果、税額を直すべき点が見つかった場合、調査官は直すべき金額とその理由を説明します(国税通則法74条の11第2項)。そのうえで、修正申告をするよう勧めることができるとされています(同条3項)。これを「修正申告の勧奨(かんしょう)」といいます。
国税庁の「税務調査手続に関するFAQ」(問25)では、勧奨に応じるかどうかはあくまでも納税者の任意の判断であり、応じなかったからといって、応じた場合と比べて不利な取扱いを受けることは基本的にはないと説明されています。応じない場合は、調査結果に基づいて税務署が「更正」という処分をします。
修正申告を勧めるときは、「修正申告をすると不服申立てはできないが、更正の請求はできる」ことを説明し、その内容を書いた書面を渡すことになっています(国税通則法74条の11第3項)。この書面は、後で手続を考えるときの大切な資料です。なくさずに保管しましょう。
調査全体の流れや、是認(問題なし)で終わる場合については、税務調査の流れと期間の記事で説明しています。この記事では、修正申告を勧められた「その後」に絞って掘り下げます。
応じる場合と応じない場合(更正)の違い
修正申告は「自分で申告を直す」手続、更正は「税務署が税額を直す」処分です。どちらでも追加で納める税額の計算の考え方は同じですが、手続の性質が違うため、その後に取れる手段が変わります。
| 比べる点 | 修正申告に応じる | 応じない(更正を受ける) |
|---|---|---|
| 税額を直すのは | 自分(修正申告書を出す) | 税務署(更正通知書が届く) |
| 理由の書面 | 自分の申告なので、処分の理由書はない | 更正通知書に理由が書かれる(理由附記。FAQ問30) |
| 不服申立て | できない | できる(再調査の請求・審査請求) |
| あとから減らしたいとき | 更正の請求ができる | 不服申立てで争う |
| 本税の納期限 | 修正申告書を出した日 | 更正通知書が発せられた日の翌日から1か月を経過する日 |
| 過少申告加算税 | 調査で指摘を受けた後なら原則10% | 原則10%(同じ) |
過少申告加算税は、調査による更正を予知した後の修正申告でも、更正を受けた場合でも、原則として10%です(一定の金額を超える部分は15%。国税庁タックスアンサーNo.2026)。つまり、修正申告を断ったから加算税が重くなる、ということは基本的にありません。加算税や延滞税のしくみは追徴課税の記事で詳しく解説しています。
一方で、延滞税は納めるまで日数に応じて増えていきます。結論が出るまで時間がかかれば、その分の延滞税も増える点は知っておきましょう。
応じるかどうかを決める前に確認したいこと
修正申告書を出すと、その内容は「自分で認めた申告」になります。後から不服申立てはできません。提出する前に、次の点を落ち着いて確認しましょう。
- どの取引・どの年分が、いくら違うと言われているか(項目と金額)
- なぜ違うと判断されたのか(事実の認定の問題か、税法の解釈の問題か)
- 指摘された金額の計算に誤りがないか(経費の計上漏れなど、こちらに有利な点も反映されているか)
- 自分の主張を裏づける契約書・請求書・メールなどの資料があるか
納得できない点があれば、その場で資料を示して説明し、もう一度検討してもらうよう伝えてかまいません。FAQ(問24)でも、納税者から質問があれば分かりやすく説明するよう努めるとされています。説明は原則として口頭なので、言われた内容は日付・項目・金額をメモしておくと安心です。
「事実関係は認めるが、税法の当てはめに疑問がある」といったケースは、専門的な判断が必要になります。修正申告に応じるか、更正を受けて争うかは、その後の負担も含めて考える必要がありますので、早めに税理士に相談しましょう。当事務所では、元国税調査官(国税OB)のスタッフが指摘内容を確認し、税務署との折衝や修正申告は税理士が対応します。税務調査のご相談はこちら
更正に納得できないとき:不服申立ての流れと期限
修正申告に応じずに更正を受け、その内容に納得できない場合は、不服申立てができます(国税通則法75条)。最初の手続は、次の2つから選びます。
| 手続 | 申し立てる先 | ポイント |
|---|---|---|
| 再調査の請求 | 処分をした税務署長など | 処分をした税務署に、もう一度見直してもらう手続 |
| 審査請求 | 国税不服審判所長 | 再調査の請求を経ずに、直接することもできる |
期限は「通知を受けた日の翌日から3か月以内」
どちらの手続も、処分の通知を受けた日の翌日から3か月以内にしなければなりません(国税通則法77条1項)。また、処分があった日の翌日から1年を過ぎると、原則としてできなくなります(同条3項)。いずれも正当な理由がある場合は例外があります。
再調査の請求をした後の流れ
- 再調査の決定にまだ不服があるときは、再調査決定書の謄本が届いた日の翌日から1か月以内に審査請求ができます(77条2項)
- 再調査の請求をした日の翌日から3か月を過ぎても決定がないときは、決定を待たずに審査請求ができます(75条4項)
審査請求と、その先の裁判
国税不服審判所では、納税者と税務署の主張が食い違う点を中心に調べたうえで「裁決」をします。国税不服審判所は、審査請求が届いてから裁決までの標準的な期間を1年としています。審査請求に手数料はかかりません(証拠書類の写しを求める場合は、原則1枚10円の手数料がかかります)。
裁決にもなお不服があるときは、裁決があったことを知った日の翌日から6か月以内に、裁判所へ処分の取消しを求める訴えを起こせます。原則として審査請求の裁決を経てからでないと訴えは起こせませんが、審査請求の翌日から3か月を過ぎても裁決がない場合は、裁決を待たずに訴えることもできます。
不服申立てをしても、税金の納付は止まりません。国税通則法105条により、不服申立ては処分の効力や徴収の手続を止めないのが原則です。更正で決まった税額は納期限までに納める必要があり、申立てが認められれば納めすぎた分が還付されます。納付が難しいときは、下の「納付が難しいとき」の章を参考にしてください。
修正申告のあとで誤りに気づいたら:更正の請求
いったん修正申告をしたあとで、「やはりこの経費は認められるはずだった」「計算に誤りがあった」と気づくこともあります。この場合は、不服申立てではなく、更正の請求という手続で税額を減らすよう求めます(国税通則法23条)。
- 請求できる期間は、原則として法定申告期限から5年以内(法人税の欠損金の額に関するものは10年以内)
- 判決で前提の事実が変わったなど、後から生じた一定の理由による場合は、その理由が生じた日の翌日から2か月以内にできる特例があります(同条2項)
- 「更正の請求書」に、正しいと考える税額や請求の理由などを書いて税務署長に出します
FAQ(問26)では、更正の請求のときは、理由の基礎となる「事実を証明する書類」もあわせて出す必要があると説明されています。「なんとなく多かった気がする」では認められません。根拠となる資料をそろえてから手続をしましょう。
5年の期間は、修正申告をした日からではなく「もとの法定申告期限」から数えます。古い年分ほど残りの期間が短いので、気づいたら早めに動くことが大切です。また、更正の請求をしても、それだけで納付が猶予されるわけではありません(23条5項)。
納付が難しいときは早めに相談を
修正申告をした場合、本税は修正申告書を出した日が納期限です。数年分をまとめて直すと金額が大きくなり、一度に払えないこともあります。そのような場合に使える制度として、国税庁は「納税の猶予」と「換価の猶予」を案内しています(タックスアンサーNo.9206)。
納税の猶予(本来の期限から1年以上たって税額が確定した場合)
税務調査に関係が深いのは、本来の期限から1年以上たってから、修正申告などで納める税額が確定した場合の納税の猶予です(国税通則法46条3項)。一時に納付できない理由があると認められれば、原則1年以内の猶予が受けられる場合があります。この場合、申請書は納期限までに出す必要があります。
このほか、災害や病気、事業の休廃業、事業での著しい損失などで一時に納付できない場合の納税の猶予もあります(同条2項)。
換価の猶予
一時に納付すると事業の継続や生活の維持が難しくなるおそれがあり、納税について誠実な意思があると認められる場合などには、納期限から6か月以内に申請することで、原則1年以内、差し押さえた財産の売却(換価)などが猶予される場合があります(国税徴収法151条の2)。
猶予が認められると
- 猶予期間中の延滞税が免除または軽減されます
- 猶予された税額は、原則として猶予期間中の各月に分割して納付します
- 原則として担保が必要ですが、猶予額が100万円以下、猶予期間が3か月以内などの場合は不要です
- やむを得ない理由があれば、当初の期間と合わせて最長2年まで延長が認められることがあります
申請には、猶予申請書のほか「財産収支状況書」(猶予額が100万円を超える場合は「財産目録」と「収支の明細書」)などが必要です。国税庁も、納期限までに納められない場合は早めに所轄の税務署の徴収担当に相談するよう案内しています。払えないまま放置すると、督促や差押えに進むおそれがあるため、黙って期限を過ぎないことが大切です。
後悔しないための注意点
- 内容を理解しないまま修正申告書に署名・提出しない:提出後は不服申立てができません
- 期限を書きとめる:不服申立ては通知を受けた日の翌日から3か月、更正の請求は法定申告期限から5年が原則です
- 資料を捨てたり、作り直したりしない:主張の裏づけになるのは、当時のままの書類です。後から作った書類は信用されにくく、事実と違う書類を作ることは許されません
- 感情的にならず、根拠で話す:調査官も法律と事実に基づいて判断しています。資料を示して冷静に説明するのが近道です
よくある質問
Q. 修正申告を断ると、調査官の心証が悪くなって不利になりませんか?
A. 国税庁のFAQでは、勧奨に応じなかったことを理由に、応じた場合と比べて不利な取扱いを受けることは基本的にないとされています。過少申告加算税の割合も、調査後の修正申告と更正で原則同じです。ただし、更正までに時間がかかれば延滞税は増えます。
Q. 一度修正申告をしたら、もう取り消せませんか?
A. 修正申告に不服申立てはできませんが、申告した税額が多すぎたと考える場合は、原則として法定申告期限から5年以内であれば「更正の請求」ができます。事実を証明する書類をそろえて請求します。
Q. 不服申立て中は、税金を払わなくてもよいですか?
A. いいえ。不服申立てをしても、原則として納付や徴収の手続は止まりません(国税通則法105条)。一度に払えない場合は、納税の猶予などの相談を検討しましょう。
Q. 不服申立てにお金はかかりますか?
A. 国税不服審判所への審査請求に手数料はかかりません(証拠書類の写しを請求する場合は、原則1枚10円)。税理士などに代理を頼む場合は、その費用が別にかかります。
まとめ
修正申告の勧奨に応じるかどうかは、納税者が自分で決められます。応じれば手続は早く終わりますが、不服申立てはできなくなり、後から減らすには更正の請求が必要です。応じなければ税務署が更正をし、納得できなければ3か月以内に再調査の請求か審査請求をすることになります。どちらを選んでも、まずは指摘の内容と根拠を正確に理解することが出発点です。
当事務所では、元国税調査官(国税OB)のスタッフが指摘内容を確認し、修正申告に応じるべきか、更正を受けて争うべきかを一緒に検討します。税務署との折衝や修正申告の作成は税理士が対応し、オンラインでの立会いにも対応しているため全国からご相談いただけます。顧問契約がなくてもスポットでご依頼いただけ、初回相談は無料です。調査の途中でも、お気軽にご相談ください。
ご注意
本記事は2026年10月12日時点の法令・情報にもとづいて作成しています。税制は改正されることが多いため、お読みいただく時期によっては内容が変わっている場合があります。また、記事は一般的な情報をわかりやすくお伝えするためのもので、実際の取り扱いはお一人おひとりのご事情によって異なることがあります。内容には十分に注意しておりますが、本記事をもとにしたご判断の結果については責任を負いかねますので、あらかじめご了承ください。個別のご相談は、どうぞお気軽に当事務所へお問い合わせください。
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