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【消費税の課税事業者になるのはいつ?】判定フローチャートつき|基準期間・特定期間・新設法人・3年縛り・届出書(2026年版)
公開 2026.10.14

「売上が1,000万円を超えたら消費税を払う」とよく言われますが、実際の判定はもう少し複雑です。2年前の売上で決まるのが基本ですが、前年の前半の売上や給与、設立時の資本金、高額な資産の購入、インボイス登録などによって、売上が少なくても課税事業者になることがあります。
この記事では、課税事業者になるかどうかを判定の順番どおりに整理し、質問に答えるだけで判定できるフローチャートを用意しました。あわせて、出さなければいけない届出書と期限、一度課税事業者になると戻れない「縛り」の期間もまとめています。
判定の全体図
消費税の課税事業者かどうかは、1年(法人は1事業年度)ごとに判定します。次の順に見ていき、どこか1つでも当てはまれば課税事業者です。どれにも当てはまらなければ免税事業者になります。
判定フローチャート
判定したい年(期)について、質問に答えてください。結果には、理由と出す届出書も表示します。
課税事業者かどうかの判定フローチャート
判定したい年(法人は事業年度)について、上から順に答えてください。判定は1年(1事業年度)ごとに行います。
※ 2026年10月時点の消費税法にもとづく一般的な判定です。相続・合併・分割、課税期間の短縮などの特殊な場合や、境目の金額のときは、税理士に確認してください。
① インボイス登録・② 課税事業者の選択
インボイス発行事業者(適格請求書発行事業者)として登録している事業者は、売上の金額に関係なく課税事業者です。また、「消費税課税事業者選択届出書」を出した場合も、売上に関係なく課税事業者になります。
- 課税事業者選択届出書:原則として、提出した年(期)の翌年(翌期)から課税事業者になります。事業を始めた年(期)に出した場合は、その年(期)から対象です。提出期限は使いたい年(期)の初日の前日で、土日祝日でも延びません
- 選択の2年縛り:選択をやめる届出(選択不適用届出書)は、課税事業者になった年(期)の初日から2年を経過する日を含む年(期)にならないと出せません。つまり最低2年は課税事業者です
- インボイス登録の経過措置:免税事業者が令和11年9月30日を含む年(期)までに登録する場合は、選択届出書を出さなくても、登録日から課税事業者になります。この場合も、登録日以後2年を経過する日を含む年(期)までは免税事業者に戻れません(登録日が令和5年10月1日を含む年・期の場合を除く)
③ 基準期間の課税売上高が1,000万円を超えるか
判定の基本は基準期間の課税売上高です。基準期間は、個人なら2年前の年、法人なら2期前の事業年度です。今年の売上ではなく、2年前の売上で決まるのがポイントです。
| ポイント | 内容 |
|---|---|
| 課税売上高に含むもの | 国内の課税売上と、輸出などの免税売上の合計から、返品・値引き・割戻しを差し引いた金額 非課税売上(土地の売却、住宅の家賃など)は含まない |
| 税抜か税込か | 基準期間に課税事業者だった場合は税抜 基準期間に免税事業者だった場合は、消費税がかかっていないので税込(受け取った金額のまま) |
| 基準期間が1年未満の法人 | 設立した年の事業年度が短いときなどは、課税売上高を月数で割って12をかけ、1年分に換算して判定(1か月未満の端数は1か月) |
基準期間の課税売上高が1,000万円を超えたら、「消費税課税事業者届出書(基準期間用)」を速やかに税務署に出します。
④ 設立1期目・2期目の法人(新設法人・特定新規設立法人)
設立1期目・2期目の法人には基準期間がないため、原則として免税事業者です。ただし、次の法人は最初から課税事業者になります。
- 新設法人:事業年度が始まった日の資本金(出資金)が1,000万円以上の法人。設立後に増資した場合は、増資後に始まる事業年度の開始日の資本金で判定します。「消費税の新設法人に該当する旨の届出書」が必要ですが、法人設立届出書に必要なことを書けば不要です
- 特定新規設立法人:資本金1,000万円未満でも、株式などの50%超を持つ会社や個人(そのグループ)の課税売上高が5億円超(または総収入が50億円超)なら課税事業者です。大きな会社の子会社として設立した場合などが当たります
資本金1,000万円以上の新設法人は、インボイスの2割特例も使えません。設立時の資本金を1,000万円未満にするかどうかは、消費税の面でも大切な判断です。
⑤ 特定期間の売上と給与が1,000万円を超えるか
基準期間の課税売上高が1,000万円以下でも、特定期間の課税売上高が1,000万円を超えると課税事業者になります。
- 特定期間:個人は前年の1月1日〜6月30日、法人は前期の最初の6か月
- 給与で判定してもよい:課税売上高の代わりに、同じ期間に払った給与等の金額で判定できます。どちらで判定するかは選べるので、売上と給与の両方が1,000万円を超えたときだけ課税事業者になります
- 前期が短い法人:前期が7か月以下の場合などは、前々期の最初の6か月で判定したり、特定期間がなかったりします。設立1期目は特定期間がありません
特定期間で課税事業者になったら、「消費税課税事業者届出書(特定期間用)」を速やかに出します。
⑥ 一度課税事業者になると戻れない「縛り」
売上が1,000万円以下になっても、次の場合は一定の期間、免税事業者に戻れません。同じ期間は簡易課税も選べないことが多いので、設備投資の前に確認しておきましょう。
| きっかけ | 縛りの期間 |
|---|---|
| 課税事業者選択届出書を出した | 2年(選択をやめる届出が出せない) |
| 免税事業者がインボイス登録をした(経過措置) | 登録日以後2年を経過する日を含む年(期)まで |
| 一般課税の年(期)に、1,000万円以上の高額特定資産(建物・機械・在庫など)を仕入れた | 仕入れた年(期)の初日から3年を経過する日を含む年(期)まで免税に戻れず、簡易課税も選べない |
| 一般課税の年(期)に、金・白金の地金などを合計200万円以上仕入れた | 同じく3年 |
| 課税事業者を選んだ最初の2年間や、資本金1,000万円以上の新設法人の期間に、100万円以上の調整対象固定資産を一般課税で取得した | 取得した年(期)の初日から3年を経過する日を含む年(期)まで |
自分で建てる建物など(自己建設高額特定資産)は、かかった費用の累計が1,000万円以上になった年(期)の翌年(翌期)から、完成した年(期)の初日から3年を経過する日を含む年(期)まで縛りが続きます。
相続・合併・分割があった場合
相続で親の事業を引き継いだ場合や、会社の合併・分割があった場合は、引き継ぐ前の人・会社の課税売上高もあわせて判定する特例があります。たとえば相続の場合、相続した年は亡くなった方の基準期間の課税売上高が1,000万円を超えていれば、相続の日の翌日から課税事業者です。個別の判定になるので、税理士に確認しましょう。
必要な届出書と期限
| 届出書 | 出す場面 | 期限 |
|---|---|---|
| 消費税課税事業者届出書(基準期間用) | 基準期間の課税売上高が1,000万円を超えた | 速やかに |
| 消費税課税事業者届出書(特定期間用) | 特定期間の課税売上高と給与等がどちらも1,000万円を超えた | 速やかに |
| 消費税の納税義務者でなくなった旨の届出書 | 基準期間の課税売上高が1,000万円以下になった(インボイス登録や選択届出をしている場合は不要) | 速やかに |
| 消費税の新設法人に該当する旨の届出書 | 資本金1,000万円以上で設立した | 速やかに(法人設立届出書に書けば不要) |
| 消費税の特定新規設立法人に該当する旨の届出書 | 特定新規設立法人に当たる | 速やかに |
| 消費税課税事業者選択届出書/選択不適用届出書 | 自分で課税事業者を選ぶ/やめる | 使いたい(やめたい)年・期の初日の前日 |
| 消費税簡易課税制度選択届出書 | 簡易課税を選ぶ(基準期間の課税売上高5,000万円以下) | 原則、使いたい年・期の初日の前日 |
課税事業者になったら:計算方法と申告
- 一般課税(本則課税):売上の消費税から、仕入れ・経費で払った消費税を差し引く。設備投資や輸出が多いと還付になることも
- 簡易課税:基準期間の課税売上高が5,000万円以下なら選べる。業種ごとの「みなし仕入率」で計算。一度選ぶと原則2年はやめられない
- 2割特例:インボイス登録で免税事業者から課税事業者になった場合、納める税額を売上の税額の2割にできる。対象は令和8年9月30日を含む年(期)まで(個人は令和8年分まで、3月決算の法人は令和9年3月期まで)
- 3割特例(令和8年度改正で新設):インボイス登録で課税事業者になった個人事業者は、令和9年分・令和10年分の申告で、納める税額を売上の税額の3割にできる。法人は使えない
- 申告期限:法人は事業年度終了の日の翌日から2か月以内、個人は翌年3月31日まで
2割特例・3割特例を使った翌年(翌期)は、その年(期)の申告期限までに簡易課税の届出を出せば、その年(期)から簡易課税を使えるようになっています。計算方法の詳しい比較は消費税はいつから納める?簡易課税・2割特例の選び方もご覧ください。
よくある質問
Q. 今年の売上が1,000万円を超えそうです。今年から消費税がかかりますか?
原則として、今年の売上で今年の納税義務が決まることはありません。今年の売上が1,000万円を超えると、2年後(基準期間として)の判定に影響します。ただし、今年の前半6か月の売上と給与がどちらも1,000万円を超えると、来年から課税事業者になります(特定期間)。
Q. 設立したばかりの会社は、2年間は消費税がかからないのですか?
資本金1,000万円未満なら、設立1期目は原則として免税です。2期目は、1期目の最初の6か月の売上と給与がどちらも1,000万円を超えると課税事業者になります。また、インボイス登録をすれば登録日から課税事業者です。
Q. 免税事業者に戻るには、何をすればいいですか?
基準期間・特定期間の判定で1,000万円以下になり、縛りの期間も終わっていれば、免税事業者になります。インボイス登録をしている場合は、登録の取消しの届出(取消しを求める年・期の初日から15日前の日まで)が必要です。取引先との関係も含めて検討しましょう。
まとめ
- 課税事業者かどうかは、1年(1事業年度)ごとに判定する
- 基本は2年前(2期前)の課税売上高が1,000万円超かどうか。前年(前期)の前半6か月の売上と給与にも注意
- 設立1・2期目でも、資本金1,000万円以上や、大きな会社の子会社は課税事業者
- インボイス登録・選択届出は2年、高額特定資産などは3年、免税事業者に戻れない
- 届出書には期限があるものも多い。迷ったら早めに税理士に相談を
新宿パートナーズ税理士事務所では、課税事業者になるかどうかの判定から、届出書の提出、一般課税・簡易課税のどちらが有利かのシミュレーション、消費税の申告まで対応しています。お気軽にご相談ください。
ご注意
本記事は2026年10月14日時点の法令・情報にもとづいて作成しています。税制は改正されることが多いため、お読みいただく時期によっては内容が変わっている場合があります。また、記事は一般的な情報をわかりやすくお伝えするためのもので、実際の取り扱いはお一人おひとりのご事情によって異なることがあります。内容には十分に注意しておりますが、本記事をもとにしたご判断の結果については責任を負いかねますので、あらかじめご了承ください。個別のご相談は、どうぞお気軽に当事務所へお問い合わせください。
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