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消費税豆知識

【海外取引の税金】中小企業・個人事業主が押さえたい国際税務の基本|輸出の消費税・海外への支払いの源泉徴収・外貨の換算

公開 2026.10.13

海外取引の税金の基本

海外の顧客に商品を売る、海外のクラウドサービスを使う、海外のデザイナーやエンジニアに仕事を頼む。今では、小さな会社や個人事業主でも海外との取引は珍しくありません。ところが、海外取引には国内取引とは違う税金のルールがあり、知らないうちに源泉徴収が漏れていた、消費税の区分を間違えていた、というケースがよくあります。

この記事では、「国際税務」と呼ばれる分野のうち、中小企業・個人事業主がまず押さえておきたい基本を、国税庁の資料をもとに整理します。

海外取引で気をつける税金の全体像

取引の例関係する税金主なポイント
海外の顧客に商品を輸出する消費税輸出免税(0%)。輸出の証明書類を保存
海外のクラウドサービス・広告を使う消費税事業者向けはリバースチャージの対象になることがある
海外の個人・会社に使用料や報酬を払う所得税(源泉徴収)原則20.42%を源泉徴収。租税条約で軽減・免除
外貨で売上・仕入・預金がある法人税・所得税取引日のレートで円に換算。期末の換算にも注意
海外へ送金する・海外に財産がある調書国外送金等調書(100万円超)、国外財産調書(5,000万円超)

1. 海外取引の消費税

商品を輸出したとき:輸出免税

国内から海外へ商品を輸出する売上は、消費税が免除(税率0%)されます。これを輸出免税といいます。売上に消費税はかかりませんが、その商品の仕入にかかった消費税は控除できるため、課税事業者で一般課税(本則課税)なら、消費税が還付になることもあります。

  • 証明書類の保存が条件:輸出免税を受けるには、輸出許可書(税関長が発行する輸出許可通知書)などの輸出を証明する書類を、原則7年間保存する必要があります
  • 郵便で送る場合:郵便物で輸出する場合は、金額などに応じて保存が必要な書類が決まっています
  • 簡易課税だと還付にならない:簡易課税を選んでいる場合は、輸出免税の売上があっても還付は受けられません

海外で行うサービス・海外どうしの取引:不課税

海外にある資産の売買や、海外で行うサービスなど、国内で行われた取引でないものは、消費税の対象外(不課税)です。たとえば、海外の倉庫から海外の顧客に直接発送する取引は、日本の消費税はかかりません。

海外のクラウドサービス・広告を使うとき:電気通信利用役務の提供

インターネットを通じて提供されるサービス(クラウドサービス、ネット広告の配信、電子書籍、アプリなど)は「電気通信利用役務の提供」と呼ばれ、海外の事業者から買う場合のルールがあります。

  • 事業者向けのサービス(ネット広告の配信など):海外の事業者から受けた場合、サービスを受けた国内の事業者が消費税を申告・納税します(リバースチャージ方式)。ただし、その課税期間の課税売上割合が95%以上の場合や、簡易課税を選んでいる場合は、当分の間、この取引はなかったものとして扱われます
  • 消費者向けのサービス(アプリ・電子書籍など):海外の事業者が日本で消費税を申告・納税します。仕入税額控除を受けるには、その事業者が発行する適格請求書(インボイス)が必要です
  • プラットフォーム課税(2025年4月から):アプリストアなど、国税庁長官が指定した大規模なプラットフォームを通じて海外の事業者が消費者向けサービスを提供する場合、プラットフォーム事業者が消費税を申告・納税する制度が始まっています

2. 海外の個人・会社に支払うときの源泉徴収

日本の会社や個人事業主が、非居住者(海外に住む個人)や外国法人に、日本で生じた所得(国内源泉所得)を支払うときは、原則として支払いのときに所得税と復興特別所得税を源泉徴収しなければなりません。国内の相手への支払いと違い、会社員の給与や士業への報酬に限らず、幅広い支払いが対象になる点に注意が必要です。

支払いの例源泉徴収の税率(原則)
著作権・特許権・ソフトウェアなどの使用料20.42%
日本国内で行う仕事(人的役務の提供)の対価20.42%
日本国内の不動産の賃料20.42%
日本で働いた分の給与・報酬20.42%
たとえば、海外在住のデザイナーに作ってもらったイラストやロゴの著作権の使用料・譲渡の対価、海外の会社のソフトウェアのライセンス料などは、源泉徴収が必要になることがあります。一方、海外で行われた仕事の対価(国外で完結したサービスの報酬など)は、原則として国内源泉所得にあたらず、源泉徴収はいりません。どちらにあたるかは契約内容によって変わるので、支払う前に確認しましょう。

租税条約で税率が下がる・免除される

日本と相手の国との間に租税条約がある場合、源泉徴収の税率が下がったり、免除されたりすることがあります。この特典を受けるには、支払いの前日までに「租税条約に関する届出書」を、支払う側を通じて税務署に提出します。免除を受ける場合などは、相手国の居住者証明書が必要になることもあります。

届出書を出さずに20.42%で源泉徴収した場合でも、あとから届出書と「租税条約に関する源泉所得税の還付請求書」を出せば、差額の還付を受けられます。

源泉徴収した税金の納付

源泉徴収した税金は、原則として支払った月の翌月10日までに納付します。使用料など、源泉所得税の納期の特例(半年に1回の納付)の対象にならない支払いもあるので注意しましょう。

3. 外貨建ての取引の換算

ドルやユーロで売上・仕入・経費がある場合、会計や申告では円に換算して記帳します。

  • 原則:取引をした日のTTM(電信売買相場の仲値)で換算します。主に取引している金融機関のレートを使います
  • 簡便な方法:毎回同じ方法で続けることを条件に、取引日の前月末日のレートや前月の平均レートなどを使うこともできます
  • 外貨預金の両替・引出し:外貨預金を円に戻したときなどに、為替差益・差損が出ます。個人の場合、為替差益は雑所得などになることがあります
  • 期末の換算(法人):期末に外貨建ての預金・売掛金・買掛金がある場合、決められた方法で期末のレートに換算し直すことがあります。法人は、税務署に届け出ることで換算方法を選べるものがあります

4. 海外送金・海外の財産と税務署への調書

  • 国外送金等調書:1回100万円を超える海外送金や海外からの入金は、銀行などの金融機関から税務署に調書が提出されます
  • 国外財産調書:12月31日時点で、海外にある財産の合計が5,000万円を超える居住者は、翌年3月15日までに国外財産調書を提出する必要があります
  • 海外の金融口座の情報交換(CRS):日本の居住者が海外の金融機関に持つ口座の情報は、各国の税務当局から日本の国税庁に提供されるしくみがあります

海外の口座で受け取った売上や、海外の財産から生じた利息・配当も、日本の居住者であれば原則として日本で申告が必要です。「海外で受け取ったから日本では関係ない」わけではありません。

海外に子会社・支店をつくるときは専門家に相談を

海外に子会社や支店をつくる、海外の会社と継続的に取引する、といった段階になると、移転価格税制(グループ会社間の取引価格のルール)、外国子会社合算税制(タックスヘイブン対策税制)、恒久的施設(PE)の判定、外国税額控除など、より専門的なルールが関わってきます。進出の計画段階から、国際税務に対応できる税理士に相談することをおすすめします。

よくある質問

Q. 海外のフリーランスに仕事を頼んだら、必ず源泉徴収が必要ですか?

A. 必ずではありません。日本国内で行った仕事の対価や、著作権などの使用料にあたる場合は源泉徴収が必要ですが、海外で完結した仕事の対価は原則として不要です。成果物の著作権をどう扱うか(使用料・譲渡にあたるか)によっても変わるので、契約書の内容を確認しましょう。

Q. 海外のネット広告の費用は、消費税の仕入税額控除ができますか?

A. 海外の事業者から受ける事業者向けのネット広告の配信は、リバースチャージの対象です。課税売上割合が95%以上の課税期間や、簡易課税を選んでいる場合は、当分の間なかったものとして扱われるため、申告も控除もしません。それ以外の場合は、自社で消費税を申告したうえで、同じ額を仕入税額控除の対象にします。

Q. Amazonで海外に商品を売った場合はどうなりますか?

A. 日本から海外の顧客に発送した売上は、輸出免税の対象になり、輸出を証明する書類の保存が必要です。会計ソフトに取り込むときに国内の売上として登録されていないかも確認しましょう。詳しくはAmazonセラーセントラルの経理の記事をご覧ください。

まとめ

海外取引の税金は、消費税(輸出免税・不課税・リバースチャージ)、海外への支払いの源泉徴収と租税条約、外貨の換算、国外送金・国外財産の調書の4つに分けて考えると整理しやすくなります。特に、海外の個人・会社への支払いの源泉徴収は漏れやすく、あとから税務調査で指摘されると、源泉所得税の本税に加えて加算税・延滞税がかかることがあります。

当事務所では、海外との取引がある中小企業・個人事業主の方の記帳・申告や、海外への支払いの源泉徴収・租税条約の届出のご相談を承っています。初回相談は無料です。お気軽にご相談ください。

ご注意

本記事は2026年10月13日時点の法令・情報にもとづいて作成しています。税制は改正されることが多いため、お読みいただく時期によっては内容が変わっている場合があります。また、記事は一般的な情報をわかりやすくお伝えするためのもので、実際の取り扱いはお一人おひとりのご事情によって異なることがあります。内容には十分に注意しておりますが、本記事をもとにしたご判断の結果については責任を負いかねますので、あらかじめご了承ください。個別のご相談は、どうぞお気軽に当事務所へお問い合わせください。

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