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【よくわかるクラウド会計】従来との比較でわかるクラウド会計の種類と機能
公開 2025.07.02

昨今、インターネットが飛躍的に進化していて、クラウドを利用したサービスが日常的なものになりました。会計や経理のソフトウェアも例外ではありません。クラウド会計は、今や大手企業から個人まで利用するクラウドサービスとして、一般的な存在です。
しかし、まだまだ従来のようにインストールして使用する会計ソフトやExcelなどで処理をしている事業者も少なくありません。
また、複雑な会計処理やグループ内での取引が多い大企業では、ERP(基幹業務システム)の一部として会計システムを開発・カスタマイズしていることもあります。
このような市販ソフトやクラウドサービスでも要件を満たせないケースを除けば、ほとんどの場合、一般的な会計ソフトを選ぶことになるでしょう。
会計ソフトを選ぶ際は、業務の規模や業務スタイル・ライフスタイル、アクセス環境などによって自社・自分に適したものが変わります。
この記事では、クラウド会計の種類・機能を比較し、会計ソフト選びのチェックポイントをご紹介します。
従来型会計ソフトの種類と主要機能
まず従来型会計ソフト(インストール型・パッケージ型)の特徴と機能を整理します。

種類
- パッケージ/インストール型ソフト
パソコンにソフトをインストールして使うタイプです。買い切り型が多く、毎月のランニングコストが気にかかる事業者の方や、使うパソコンが限定されているなどの組織やユーザーが長く使う場合に向いています。
- ローカルサーバー型
社内サーバーにインストールして使うもの。オフラインや社内ネットワークのみで運用することができます。セキュリティを社内管理したい場合に選ばれます。
- 業種特化型
製造業・建設業・小売業など、原価計算・在庫管理・複雑な伝票処理が多く、その業種にあった仕様になっているソフトです。見積から請求、原価集計まで幅広くカバーしています。
主な機能・メリット
- 詳細な伝票入力や複数行にわたる仕訳処理に対応している
- 社内環境の性能にもよるが、データ量が大きくても処理が早い
- 勘定科目や帳票レイアウトのカスタマイズ性が高い
- インターネットにつなぎたくないPCで利用できる
- メジャーバージョンアップがない限り、基本的にコストがかからない
主なデメリット・制約
- アップデートや制度が変わった際には、再インストールやアップデートを社内で行わなければならず、場合によってはコストがかかる
- データ共有・遠隔アクセスが必要な場合、VPNなどの追加設定が必要となる
- ライセンスやサーバーが必要な場合、初期導入コストが高額になることもある
- メンテナンス・バックアップを社内で行う必要がある
- 操作性やUIが古めで、ネット環境がない場合、スマートフォンから操作することができない
主なオンプレミス型ソフト
- 弥生会計(デスクトップ版)
- 勘定奉行(OBC)
- PCA会計
- JDL IBEX会計
クラウド型会計ソフトの種類と主要機能
これまでの従来型の会計ソフトウェアと異なり、クラウド型(オンライン型)は、ネット環境があればどこからでも使えるのが最大の特徴であり、メリットです。近年は法改正やリモートワークの普及により、導入企業が急速に増えています。

クラウド会計ソフトの種類・タイプ
クラウド型にもいくつか種類があります。
- 個人事業主・フリーランス向け
小規模な業務や確定申告中心の場合、入力が簡単にできて、仕訳が自動化されているタイプが人気です。基本的にスマホに対応しており、確定申告書の連携もできます。 - 法人向け・中小企業向け
決算書作成や複数部署で使用できるタイプが選ばれます。部門管理・予算管理・固定資産管理・請求書管理などの機能が標準的に実装されているものもあります。 - 業種特化型
飲食・小売・建設・医療などの業界に特化していて、POSや受発注システムに連携することができたり、原価管理、工程管理などにも対応できるものもあります。 - ハイブリッド型(オンプレミス + クラウド)
従来型の操作性を残しつつクラウド機能を追加したタイプです。デスクトップアプリと連携してクラウドにバックアップ、遠隔で閲覧する機能などが実装されています。
主な機能・メリット
- PC・スマホ・タブレットにも対応していて、どこからでも使用することができる
- 法改正・制度変更があっても自動で最新化してくれる
- 銀行・クレカ・ECサイト・決済サービスと連携することで、取込と仕訳を自動化することができる
- インボイス制度・電子帳簿保存法など最新制度への対応が早い
- 複数人がリアルタイムで同時に編集することができる
主なデメリット・注意点
- ネット環境がないと使えず、通信が不安定だと操作に支障が出る
- 月額または年額課金が必要になるため、サービスを途中でストップすることが難しい
- 業種によっては必要な機能が不足している場合があり、カスタマイズができないことやカスタマイズするにも高額な費用がかかる場合がある
- データ保存先や暗号化レベルなど、サービス提供会社の信頼性を確認する必要がある
従来型 vs クラウド型 会計ソフト比較表
| 比較項目 | 従来型(オンプレミス型) | クラウド型 |
|---|---|---|
| 初期コスト | ライセンス・サーバー導入があると高額になる場合がある | サブスクリプション型は基本的に低額 |
| ランニングコスト | 基本的には不要で、制度改正やメンテナンスの際に一時費用が発生する | 基本的に月額・年額固定制となる |
| アップデート対応 | 社内で対応 | サービス提供元が対応 |
| オフライン利用 | ネットがなくても基本的に使える | 基本的にインターネットが必要 |
| データ共有 | 社内ネットワークで限定的 | 複数人・複数拠点で可能 |
| スマホ対応 | 一部対応 | アプリ・ブラウザ対応が一般的 |
| カスタマイズ性 | 高い | 低い |
| バックアップ | 社内で管理 | 自動でバックアップ |
| セキュリティ | 社内で管理 | サービス提供元が対応 |
代表的なクラウド会計サービス
個人・小規模事業者向け
会計freee(フリー株式会社)(SaaS)
銀行口座やクレジットカードの明細を自動で取り込み、レシートや請求書もスマホで撮って保存できます。請求書の発行や経費精算、承認フローまで一通り対応しているので、バラバラになりがちな業務をまとめやすいのが特徴です。電子帳簿保存法やインボイス制度にも対応した画面設計になっており、専門知識がなくても使いやすい工夫があります。
マネーフォワード クラウド会計(株式会社マネーフォワード)(SaaS)
銀行口座やクレジットカード、他のクラウドサービスとの連携が強みです。会計だけでなく、請求・経費・給与などバックオフィス全体を一つのサービス群としてまとめられるので、事務作業を効率的に進めやすくなります。証憑の電子保存や仕訳の自動化、承認フローもそろっているため、利用範囲を広げて業務をまとめたい方に向いています。
バックオフィスの業務効率化なら「マネーフォワード クラウド」
弥生会計 オンライン/弥生会計 Next(弥生株式会社)(SaaS)
「スマート取引取込」で銀行やカードの取引を自動で仕訳できるのが便利です。税理士とのデータ共有もしやすく、これまで弥生会計を使ってきた方もクラウド版にスムーズに移行できます。昔からの使い勝手を残しつつ、オンラインで使える点が安心感につながります。
小規模〜中堅企業(部門ごとの管理や承認フローを重視したい場合)
勘定奉行クラウド(OBC)(SaaS)
内部統制や承認ワークフローなど、社内でのチェック体制をしっかり作りたい企業に向いています。部門別やプロジェクト別の会計管理もでき、人事給与や販売管理など「奉行シリーズ」と連携して会社全体の管理を広げられます。
TKC FXシリーズ(FX2/FX4クラウドなど)(TKCグループ)(SaaS/クラウド提供)
毎月の経営状況を数字ではっきり見える形にし、原価や部門ごとの収支を管理しやすくなっています。全国の会計事務所ネットワークとつながっているため、税理士や会計士と一緒に管理体制をしっかり整えたい中堅企業に適しています。
ミロク情報サービス(MJSLINK NX-Plus/Galileopt NX-Plus)
販売や人事給与など、会社の基幹システムと会計をまとめて管理できるERPタイプです。社内の承認フローや統制も含めて「会計だけでなく業務全体を効率化したい」という企業に選ばれています。
クラウドでWindowsアプリを使いたい場合(仮想デスクトップ型)
PCA 会計DX/PCAクラウド(ピー・シー・エー株式会社)(IaaS/オンプレミス選択可)
これまでPCA会計を使ってきた方が、そのままの操作感で利用できるのが特徴です。クラウド上でも使えますし、従来のパソコンにインストールして使う方式(オンプレミス)も選べるので、会社の状況に合わせて導入できます。販売管理や給与計算などの周辺ソフトとも組み合わせやすい設計です。
伝統的なデスクトップ型(段階的にクラウドへ移行する選択肢)
弥生会計(デスクトップ版/弥生株式会社)(デスクトップ)
「国民的ソフト」として多くの中小企業に使われてきた会計ソフトです。これまでの運用をそのまま続けつつ、必要に応じて少しずつクラウドサービスへ移行できます。最初から大きく変えるのではなく、段階的に切り替えたい方に向いています。クラウド版へ進む場合は「弥生会計 オンライン/Next」が後継になります。
JDL IBEX会計(JDL IBEX.net)(デスクトップ)
会計事務所や事業者向けに機能が充実しているシリーズです。証憑の処理や各種レポートなど実務に役立つ機能が多く、クラウド版とデスクトップ版の両方が用意されています。どちらを選ぶかは会社の運用方針に合わせて決められます。
LAN2(株式会社コラボ/わくわく財務会計・らんらん財務会計など)
小さな会社向けに展開されてきたデスクトップ型の会計ソフトです。中小企業から個人事業主まで使え、価格が手ごろで、シンプルに経理や申告をこなしたい層に広く使われてきました。複数台でのネットワーク利用にも対応しており、少人数のチームで経理を分担する場合にも使いやすい設計です。
ポイント
「クラウド」といっても2種類あります。
・SaaS型(freee、マネーフォワード、奉行クラウドなど)
ブラウザから利用します。アップデートが自動で、他のサービスとの連携もしやすいのが特徴です。
・IaaS型(PCAクラウドなど)
クラウド上でWindowsアプリを動かすタイプです。従来まま使えるため、移行時の戸惑いが少ないのが特徴です。
選定チェックリスト
自社にあった会計ソフトを選ぶ際には、以下の点を参考にすると良いでしょう。機能不足や逆に機能が多すぎて使いこなせるのか、後々ソフトウェアを入れ替えることにならないか、などの不安に思っている事業者も少なくありません。

まずは、自社の会計業務をカバーできる機能で線引きをして、いくつか候補を挙げてお試しできるものは試用するようにしましょう。
画面のわかりやすさ、操作性など感じ方には個人差がありますので焦って決めない、ということも大切です。
代表的なチェックポイント
- 証憑の電子化
証憑の整理や仕訳に効率化を求める場合、レシートをスマホで撮影して取り込めるか、PDFやメール添付を自動で処理できるか、クラウドストレージ(DropboxやGoogle Driveなど)とつながるか、などの機能をチェックします。
日常の入力作業がどれだけ省けるかに直結します。 - 連携の広さ
EC事業者など経理処理が多い事業者の場合、銀行口座・クレジットカード・ECサイト・決済サービス・請求書や経費精算サービス・給与・在庫管理まで、自動でデータが取り込めるか、などの範囲をチェックすることをおすすめします。
連携できるサービスが多いほど、手作業の入力を削減することが可能です。 - 承認や権限管理
経費や請求の申請から承認・差し戻しまでの流れが整備されているか、誰がどの操作をしたか記録が残るか、管理者が権限を細かく設定できるかなど、意外とチェック漏れしやすい部分です。特に電子帳簿保存法やインボイス制度の実務運用に直結するため、忘れずにチェックすることをおすすめします。 - 管理会計の対応部門ごとやプロジェクトごとに収支を分けて管理できるか、原価や予算まで追えるかもチェックするようにしましょう。必要がなければ気にしなくてもよいですが、ここが必要かどうかが中小規模と中堅以上の分かれ目になります。
- 法令対応
インボイス制度や電子帳簿保存法にどのように対応しているかも大切なポイントです。単に保存できるだけでなく、ガイドやマニュアルが充実していて実務で迷わないかどうかをしっかり見ると、長期的な運用につながります。 - サポートや会計事務所との連携
税理士とデータ共有できるか、困ったときに相談できるサポート窓口があるか、導入時に移行支援があるかなども運用を続けるうえで大切です。特に電話サポートやチャットサポートなど人が存在していることが安心感につながるため、あらかじめチェックしておくようにしましょう。
あまり知られていないクラウド会計サービス
Crew(クルー)
クラウド会計の先駆けともいえるサービスで、フリーランスや小規模事業者向けです。ただし利用者が少なく、ネット上の解説や事例が限られるため、情報を得にくいのが課題です。
Streamed(スキャン仕訳特化)
領収書や請求書をスキャンすると、自動で仕訳にしてくれるサービスです。入力作業を大きく減らせますが、これ単体では会計処理が完結せず、freeeやマネーフォワードなど他のソフトと組み合わせて使う前提になります。
定番が安心できる理由
- サービス終了のリスクが少ない
利用者が多いクラウド会計ウェアは、簡単には撤退しません。もし仮に撤退することになっても、後続サービスへの移行がしっかりサポートされているのが一般的です。そのため、長期的に使い続けられる可能性が高く安心です。 - 情報が豊富にある
利用者が多いほど、操作のコツや解説記事、動画などが見つかりやすく、困った時に解決方法を探しやすいです。 - 税理士のサポートを受けやすい
多くの税理士が導入経験を持っているため、相談しやすく、顧問契約がスムーズです。
一方で、利用者の少ないサービスは操作方法が独特だったり、サポートの薄さがリスクになる場合もあり、誰にでも安心しておすすめできるとは限りません。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
従来型(デスクトップ)とクラウド型には、それぞれメリットと制約があります。
クラウド型であれば、インターネット環境があればどこからでも使える、法改正への対応が早い、自動連携で作業が減る、複数人で同時に作業しやすく、従来型であれば、セキュリティ上インターネットにつなげられない業種やカスタマイズが必要な事業者のニーズに対応できます。
最近はクラウド型が主流になりつつありますが、特殊な要件やコスト面を重視する場合には従来型が合うケースも残っています。
大切なのは、「安心して長く使えるか」「相談できる人や情報があるか」。これを基準に選ぶことが、一番失敗の少ない方法です。
ご注意
本記事は2025年7月2日時点の法令・情報にもとづいて作成しています。税制は改正されることが多いため、お読みいただく時期によっては内容が変わっている場合があります。また、記事は一般的な情報をわかりやすくお伝えするためのもので、実際の取り扱いはお一人おひとりのご事情によって異なることがあります。内容には十分に注意しておりますが、本記事をもとにしたご判断の結果については責任を負いかねますので、あらかじめご了承ください。個別のご相談は、どうぞお気軽に当事務所へお問い合わせください。
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