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会社の手続き

【休眠と解散どっちが得?】会社をたたむ前に知っておきたい費用・手間・注意点

公開 2026.10.08

「事業はもう動かしていないけれど、会社をどうしたらいいかわからない」「とりあえず放っておいても大丈夫?」——こうしたご相談はとても多いです。

事業をやめるときの選択肢は、大きく分けて「休眠」と「解散(清算)」の2つです。どちらが得かは、今後また事業を再開する可能性があるか、会社に資産や借入れが残っているかで変わります。

この記事では、休眠と解散それぞれの費用・手間・注意点を比べて、選び方のポイントをわかりやすく解説します。

結論:再開の予定があるなら休眠、ないなら解散が基本

ざっくり言うと、次のように考えるのが基本です。

  • 近いうちに再開する可能性がある → 休眠(会社を残したまま、事業を止める)
  • 再開の予定がない → 解散・清算(会社を法的に消滅させる)

休眠は手続きが簡単で、再開もすぐにできます。一方で、会社が残る以上、毎年の申告や登記などの「維持の手間とコスト」がかかり続けます。

解散・清算は最初に費用と手間がかかりますが、終わればその後の負担はなくなります。

休眠と解散の違いを比較

比較項目休眠解散・清算
会社の存続残るなくなる(清算結了の登記で消滅)
主な手続き税務署・都道府県・市区町村へ「異動届出書」で休業を届け出る解散・清算人選任の登記、官報公告、解散・清算の確定申告、清算結了の登記
最初にかかる費用ほとんどかからない(届出のみ)登録免許税 計4万1,000円+官報公告の掲載料+専門家への報酬
毎年の維持コスト法人税等の申告、法人住民税の均等割(自治体による)、役員の任期ごとの変更登記なし
再開のしやすさ異動届出書を出せば、すぐ再開できる再開できない(あらためて設立が必要)
かかる期間届出だけなので短い官報公告から最低2か月以上

休眠のメリット・注意点

メリット

  • 手続きが簡単で、費用もほとんどかからない
  • 再開したいときに、すぐ事業を始められる
  • 会社の名前や設立年月日(社歴)、許認可などを残せる

注意点

休眠しても、会社がなくなるわけではありません。次の点に注意が必要です。

  • 法人税等の申告は毎年必要:売上がゼロでも、決算・申告の義務は続きます。申告をしないでいると、青色申告の承認が取り消されることがあります。
  • 法人住民税の均等割:赤字でもかかる税金です。事業活動を行っていない休業中の法人には課税しない取扱いの自治体もありますが、自治体によって異なるため、事前の確認が必要です。
  • 役員の変更登記:役員には任期(株式の譲渡制限がある会社でも最長10年)があり、休眠中でも任期が来たら変更登記が必要です。怠ると過料の対象になります。
  • 繰越欠損金の期限は進む:赤字を将来の黒字と相殺できる期限(原則10年)は、休眠中も進みます。

放っておくと「みなし解散」に

株式会社は、最後の登記から12年が経過すると、法務局の整理作業の対象になります。通知を受けて「まだ事業を廃止していない」旨の届出などをしないと、解散したものとみなされます(みなし解散)。

休眠させるなら、登記もきちんと管理しておきましょう。

解散・清算のメリット・注意点

メリット

  • 清算が終われば、申告・均等割・登記などの維持コストがなくなる
  • 会社の管理にかかる手間から解放される

注意点

  • 費用と期間がかかる:登録免許税(解散3万円・清算人選任9,000円・清算結了2,000円)、官報公告の掲載料、専門家への報酬などがかかります。債権者に知らせるための官報公告から2か月以上は、清算を終えられません。
  • 申告が複数回必要:解散した日までの「解散事業年度」、その後の「清算事業年度」など、通常より申告の回数が増えます。
  • 借入れや資産の整理が必要:借入れが残っていたり、債務超過だったりすると通常の清算ができず、特別清算や破産の検討が必要になることがあります。
  • 残った財産の分配に税金がかかることも:株主に残った財産を分配すると、出資額を超える部分が「みなし配当」として課税される場合があります。

どっちが得?判断のポイント

次の質問に答えてみると、選びやすくなります。

  • 1〜2年以内に再開する可能性はありますか? → あるなら休眠が有力です。
  • 毎年の申告費用や均等割を払い続けても問題ありませんか? → 負担なら解散を検討しましょう。
  • 借入れ・未払い・資産(車や在庫など)は残っていますか? → 残っている場合は、先に整理が必要です。
  • 許認可や社歴を残す意味はありますか? → 取り直しが大変な許認可がある場合は、休眠も選択肢です。

休眠を何年も続けると、毎年の申告費用や均等割の合計が、解散にかかる費用を上回ることがよくあります。

「いつか使うかも」と残すより、再開の予定がはっきりしないなら解散を選んだほうが、結果的に負担が少なく済むケースも多いです。

税理士に依頼できること

休眠・解散の手続きは、税理士・司法書士などの専門家で担当が分かれています。

手続き誰に依頼するか
休眠か解散か、どちらが有利かの検討(維持コストと解散費用の比較)税理士
休業・解散・清算結了の「異動届出書」の作成・提出(税務署・都道府県・市区町村)税理士
休眠中の法人税・地方税の申告税理士
解散事業年度・清算事業年度などの確定申告税理士
残余財産の分配にかかる税金(みなし配当など)の計算税理士
解散・清算人選任・清算結了の登記、役員の変更登記司法書士
官報公告の手続き司法書士(会社で手配することもできます)
債務超過の場合の特別清算・破産弁護士
従業員がいる場合の社会保険・労働保険の手続き社会保険労務士

まとめ

休眠は「すぐ再開できる代わりに、維持コストがかかり続ける」方法、解散は「最初に費用がかかる代わりに、その後の負担がなくなる」方法です。

再開の予定、会社に残っている資産や借入れ、毎年の維持コストを並べて比べてみましょう。

会社の状況によって最適な方法は変わります。解散・清算の確定申告や、休眠中の申告についても、判断に迷う場合はお気軽にご相談ください。

ご注意

本記事は2026年10月8日時点の法令・情報にもとづいて作成しています。税制は改正されることが多いため、お読みいただく時期によっては内容が変わっている場合があります。また、記事は一般的な情報をわかりやすくお伝えするためのもので、実際の取り扱いはお一人おひとりのご事情によって異なることがあります。内容には十分に注意しておりますが、本記事をもとにしたご判断の結果については責任を負いかねますので、あらかじめご了承ください。個別のご相談は、どうぞお気軽に当事務所へお問い合わせください。

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